この絵は
「夢」と名づけましたが、
確かにいつか見た夢の風景そのものです。
人生を旅に例えれば、特急列車に乗るよりは、
各駅停車に乗ってのんびりと旅を続けたいと思います。
たとえその終着駅が「死」だとしても、
途中下車する駅で、町で、多くの人と出会い、別れ、
沢山の思い出を紡ぎながら、ゆっくりと目的地へ向かえればよいと思います。
描かれている駅のホームに、椅子が二つあるのですが、
片方の椅子が倒れています。
自分でいうのもなんですが、どこか寂しげな感じがします。
一番上の駅のホームは、多分「終着駅」だと思います。
女の子は仮面(ペルソナ)をつけ、これから旅に出ようとしているのでしょうか。
この絵はひっくり返すと、もう一つの風景が出てきます。
いわゆる「見ざる 言わざる 聞かざる」の三猿をテーマに描かれています。
これは、この社会を生きて行く上で、とても重要な叡智だと思います。
私も幾度となく失敗を重ねて、この知恵の大切さを痛感しました。
余分な事は、「見ない 言わない 聞かない」・・・
思いやりや真心といった温もりを忘れてはいけませんが、
大切な教訓のように思います。
自身で描いた絵ながら、
時々自分を戒める為に、眺めたりもする大切な1枚です。
漆黒の闇に開く無数の花弁の中に、
やがて落ちて行くような感じがします。
もう一つ・・この絵には何人かの人物の顔が隠されています。
時間がたつと自分でも分からなくなるほどですが、
ずっと見つめていると、その人物の顔が浮かび上がってきます。
悲しくうつむいていたり、じっとこちらを見つめていたり。
それは常に自分を支配している「自我」といったところでしょうか。
それとも、知らずのうちに自分を操作している「無意識」のようなものでしょうか。