Kyon {Silence Of Monochrome}

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2018/09/20

アゲハとキアゲハ 24 生死をかけた道のり

めっきり秋の様相になってきた。
セミの声は遠くなり、秋の虫の合唱が聞こえる。
植物にはアブラムシが再び付きはじめ、テントウムシも夏眠から覚めてきたようだ。

まずはアゲハ。
第四世代は無事に旅立った。
8月30日に34号のメスが羽化し、次いで9月1日35号オス、8日に36号小ぶりのオス、37号メス、10日38号メス、11日39号メス、16日40号オス(このこは背の右側にほくろ有)が羽化した。

様子がおかしかったのはキアゲハである。
今回も無農薬パセリを購入し、なんとか食糧難をしのいだが、不可解な死が多かった。
ちなみに無農薬パセリは前回も助けてもらったものなので安全は実証済みだ。しかも今回は葉の部分+茎の部分をつけてもらって出荷してくれた。お店の方曰く、幼虫は茎もたべるらしいからと。たしかに葉っぱがなくなると茎をポリポリ食べていた。ちなみに幼虫はパセリの花も食べる。

一匹は私の不注意でかわいそうなことをしてしまった。まさに終齢の終盤で前蛹になる直前のこであった。なにがあったかは辛くて書き残せないが苦しめてしまったことは事実…。本当に悔やんでも悔やみきれない。

不可解な死を遂げたのは、2匹。1匹は終齢になる脱皮直前で力尽き、もう一匹は終齢の終盤で突如黒くなって亡くなっていた。
その前に終齢への脱皮後かなり弱ったこがいた。脱水し身体が縮んでしまっていたが、徐々に回復し、その後見事に蝶となり旅立っていた。

不可解な死はさらに続いてしまうのかもしれない。
現在、蛹のまま、羽化しない個体が三体。羽化予定の1週間以上過ぎた今も兆候が見えない。
いったい何が起きているのだろうか。
親蝶になにか問題があったのだろうか。

無事に羽化したのは9頭。
9月7日に25号の小ぶりなオスが羽化し、11日26号、27号オスが羽化、12日28号オス、29号メス、30号オス、13日に31号メス、15日32号オス、33号オスの全9頭が無事に羽化した。

さっさと飛び立つものもいれば、しぶしぶ行くものもいた。蝶にも個性があると感じる。
そして別れはいつも寂しい…。切ない思いが胸に込み上げる。


ベランダのサフィニアの花に止まり、なかなか旅立たないこの顔をじっとみつめ、
{頑張って生きるんだよ}とつぶやく。
きゅっとしまった口吻と、黒目がちなかわいい丸顔がとても愛おしく感じた。
もう二度と、会うことはないだろうと…。


今回の度重なる不可解な死を通し、1ミリほどの卵からひとりで生まれ、誰に習うことなく脱皮を繰り返し終齢へ、そして蛹化から羽化への道は、彼らにとって実は生死を分ける大仕事なのだと改めて感じた。

そして彼らにはこれからまた、大きな試練が待っているだろう。
恋をして、子孫を残すという大きな役割を背負いながら、蝶生を全うするのだ。

生態系の末端にいる彼らだから、捕食されるのはいたしかたない。
しかしこれだけは願わずにはいられない。

空の宝石のような彼らである。どうか、いたずらなニンゲンにだけはつかまらないように…。
どうか、つかまりませんように……。

彼らは生きていてこそ、美しく輝いているのだから。