Kyon {Silence Of Monochrome}

Kyon {Silence Of Monochrome}
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2020/12/28

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Kyon

2020/10/30

ツマグロヒョウモン 78 ハトちゃんのこと。

 10月29日、ツマグロヒョウモンのハトちゃんが旅立った。

ハトちゃん(メス)は羽化不全だった。

8月10日に羽化したのでハトちゃん。

人一倍(ツマ一倍?)小さくて、退化した前脚を除けば脚が二本しかなく、さらに後ろの一本は半分で切れていた。

それでもハトちゃんは日本の脚を器用に操り、ケースの蓋につかまり休んでいた。

いつも元気なこで、時々指に乗せると、その半分しかない後ろ脚がこちょこちょと指をくすぐり、小さなハトちゃんの存在を一層大きく感じさせるのだった。


毎年のようにツマグロヒョウモンを育てていると、幼虫のまま、あるいは蛹のまま死んでしまうこが出てくる。最盛期の初夏よりも、そこからちょっと進んだ季節に多いように感じる。

卵の主である親の個体も真夏で疲れてくるのだろうか。羽化不全も時々ある。

ハトちゃんもその一頭だった。

しかし、私たちは慌てない。ツマグロヒョウモンはとてもお世話しやすい蝶だからだ。

前脚に、ハチミツ水をたっぷり染み込ませたティッシュでちょんと触れると、お腹が空いていれば口吻をひゅるひゅると出してくる。それがとてもかわいい。(アゲハ類はこうはいかない…)

ごはんがいらない時はそれに眼もくれずにパタパタそこらを遊びまわるか、口吻がしまったままなのでわかりやすい。


ハトちゃんは80日生きた。

この薄暗いコロナ渦のなかで、彼女の存在に癒され、励まされた。

小さくても、脚がたりなくても、日々元気に生きている姿。

別れはいつも辛いけど、ずっとこころの中に生き続ける。



そして、羽化不全のこが、もう一頭。

ツマグロヒョウモン、オスのツマオさん。

羽化の時に触覚と口吻が引っ掛かってしまい、殻からうまく離れられなかった。

翅がよじれて、口吻も収納できず、先端が割れてすこし曲がってしまっているが、蜜は吸えるようだ。

暖かい日射しをあびると、元気に動き出す。

翅をフルフルと振動させている姿をみて、空を飛んでいる気分なのではないかと思ってしまう。

羽化してまだ18日、この美しいオレンジ色の蝶と、しばらくは一緒にいられるだろう。


2020/09/11

 当たり前というものはこんなにも、脆いものなのか。


生きていると様々なことを経験する。楽しいことも、悲しいことも。

この世に生きるとは、一度きりのことだ。


今、それをかみしめるように、白地にペンを進める日々が続く。


普通の日常がある日突然、変わってしまうという真実。

小説や映画の世界ではなく、それは現実に起こるのだということを、

昨年、東日本を襲った巨大台風、そして半年以上続くこのコロナ渦がなければ、

痛いほど認識できなかった。


日常が、いつもの日々が、いとも簡単に崩れ去るという経験が、

今後さらになにか起きるのではないかという不安の種を、脳裏に絶えずまき散らしていく。

だからこそ、傍らに寝転がる猫や、カリカリと葉を食する虫の音が、

いつまでもこのままであってほしいと、祈らずにはいられない。



どうか、世界が、続きますように。


2020/01/18

アゲハとキアゲハ 38 どこへ?

昨年もたくさんの蝶とともに過ごした。
ツマグロヒョウモンたちは、彼らのために用意した「スミレガーデン」をすっかり認識してくれたようだし、
愛らしいシジミチョウ、風格のアゲハもたくさん来たし、育てた。

しかし、明らかに、2018年とは変化があった。
2019年、ついにキアゲハが来ることはなかった。

キアゲハ。
アゲハより一回り大きくすこし毛深いが、ファーをまとったようなゴージャス。
セリ科の植物=パセリや三つ葉などを好み、それら食草はやや地上の下部分に生えているためか、低い位置をゆっくりと優雅に飛ぶ姿は、貴婦人が散歩をしているかのようだ。
気高いアゲハや気難しいアオスジアゲハなどと比べて、お子様の頃から人懐っこささえ感じてしまう、可愛くてそれは美しい蝶。

かれらのためにパセリの鉢植えを何鉢も用意し、スーパーで売っているものや安価な苗では予期せぬ事態が大体おこってしまうため、無農薬販売の業者も何件か記憶しておき、さあ来い!と待ってはいたが…。
彼らの美しい姿を見ることはなかった。

いったいこの地域で何が起こったのか?
考えられるのは、かれらの食草に何かが起こったということだろうか。
セリ科の植物はパセリやニンジン、三つ葉など、ニンゲンが育て口にするものが多い。
その栽培がこの地域で昨年は減ったのか、無くなったのか、
もしくは農薬をたくさん使用したのか…。

小さなかれらにとっては、そうした些細な出来事が生態系に大きく影響してしまう。
とにかく、2018年にはたくさん卵を産みに来たキアゲハが、2019年には一匹もこないというのは寂しいのを通り越して、不安にさえなるのである。

2018年にたくさん撮った彼らの写真を複雑な想いで見つめた。
見つめながら考えた。
この地球全体を覆う気候変動。もう異常気象とは言わないらしい。異常な事態が常態化してしまったからだ。
そして地球は次のフェーズに入ったという。

年々熱くなる日本の夏は猛暑ではなく、もはや酷暑で災害級だ。
その夏にオリンピックがやってくる。
そして台風。暴風の15号と豪雨の19号は、本当に恐ろしかった。
家を揺らした暴風の轟音はトラウマとなり、今でも風が強い日は気分が不安定になる。
一日続く大雨によって近くの川が氾濫するのではないかと、心底恐怖したのも人生で初めてだった。
これがそれだけで終わる現象とはとうてい思えない。今年も来年も、
その次も、私たちはこれからさまざまな脅威にさらされるのだろう。

ふと、姿を消したキアゲハと私たちの姿が重なった。

キアゲハ…君たちにいったいなにがあったの?
今年は希望の光が訪れてくれるだろうか。
逆境にも負けない、たくましい姿を。
わたしたちは元気だったよと、どうか美しい姿を見せてほしい。
そして彼らの子供たちとたくさん過ごしたいのだ。