Kyon {Silence Of Monochrome}

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2025/04/13

ツマグロヒョウモン ツマオさん:紅葉から桜まで175日の奇跡

 ツマオさんと名付けたその美しい蝶は、保護してから175日の翌日に空へと帰っていった。

心にぽっかり、穴があきました。



25/4/11 ツマオさん 後ろ翅も綺麗です


・・・・・・・・・・・・・・・・・


ツマオさんとの出会いは2024年の10月中旬、秋も入口の頃だった。

駐車場で動けなくなっている蝶を見つけたと母から教えられ確認しに行ってみると、ツマグロヒョウモンのオスがコンクリートの上でじっとしていた。

右側の翅がつけ根あたりを残してサクっと切り取られたようだった。

その頃カマキリを見かけていたのでカマでやられたか、それともどこかでぶつけて切ってしまったのか、触覚も半分切れてしまっていた。


うちでは毎年、ビオラやスミレに着いたツマグロヒョウモンの幼虫を保護しながら育てている。10月も半ばに来ると、次々と蛹から羽化し成虫になっていくので、じっとしていたその子もうちから出た子だろうと推測した。


翅が片方ないので飛べないし、このままでもかわいそうなので、飼うことにした。

ツマグロヒョウモンの飼育は案外楽で、蜜さえ用意すれば自分で吸ってくれる。

蜜はハチミツをかなり薄めたものを一日一回与えた。


ツマオさんはのんびりとしていて翅を忙しなく動かすということもないので、プラスチックの飼育ケースの壁面にペーパータオルをつけ、ティッシュをふんわり敷いてお世話した。

日光浴が大好きでふわふわと翅を動かす姿がとてもかわいらしい。

面白い癖があって、蜜を与えると吸いだすのだが、お腹いっぱいといったん口吻をしまおうとして、クルクルと出したり引っ込めたりを何回か繰り返し、さんざん悩んだ挙句におかわり!とまた吸い出すという。

これまでお世話してきてあまり見たことのない光景だったので、とても印象的だった。


おいしそうに蜜を吸うツマオさん


この蝶がそれから175日・・約半年ほども生きるとは、7年ツマグロヒョウモンを見続けてきた自分としても驚きだった。


普通の成虫や羽化不全の子だと、元気な子は飛び回るので、洗濯ネットで作成したソフトケースでも翅は徐々に痛み出し、リボンのようになってしまうか、ほとんどなくなってしまうこともある。

しかしツマオさんの翅は保護当時と変わらず美しいまま、旅経つ時も変わらず。


25/3/30 ツマオさん

紅葉が始まる頃から桜が散る今まで、一緒にいてくれたことに感謝するとともに、久しぶりに消失感を感じている。

ペットの火葬現場では時々虫の火葬も行われるというが、なんとなく頷けてしまう。

それだけ半年の間、心のささえになってくれていたのだろう。


175日は保護した時からの日数なので、彼がどのくらい外で生活していたかがわからないため、もっと生きたということかもしれない。

とにかくこんなにご長寿なツマグロヒョウモンは初めてだった。


美しくて、強くて、幼虫も成虫も愛嬌のあるツマグロヒョウモンが、私は本当に大好きだ。


春になり越冬してきた小さい子供たちが姿を現すようになった。

我が家のスミレも芽吹き、かわいい花を見せている。

かれらのために無農薬のビオラも冬からたくさん育てている。

毎年母蝶が卵を産みに来てくれる。それこそシーズンになると毎日のように。

母蝶を見ると皆ほとんど翅がボロボロだ。そして時々、力尽きた蝶も目にする。

子孫を残すのはそれこそ命がけなのだということを感じる。

規模は小さいけれど、この大きな循環をずっと大切にしていきたいと思う。


・・・・・・・・・・・・・・・・


ツマオさん、今までほんとうにありがとう。

これからは好きなだけ空を飛び回ってください。

そして、かわいい彼女にも会えるといいね。










2021/11/11

ツマグロヒョウモン 自己流飼育のコツ ① 卵からベビー幼虫まで

 ツマグロヒョウモンと出会い、その魅力にひかれて、3年。

今年も我が家に帰ってきたたくさんのツマちゃんたち、これまでに110頭以上無事に空に飛び立った。

なかには幼虫で小さいまま亡くなったこや、蛹化を失敗したこ、蛹からでれなくなってしまったこ、蛹のまま不可解な死をとげたこも10匹ほどいて、これは毎年、起こっている。

なぜだかはわからないが、秋からの幼虫に多い気がする。個体が疲れてきてしまうのだろうか?


越冬幼虫や冬の寒い時期に羽化してしまうこのお世話もあるため、春夏秋冬ほぼ1年中、ツマちゃんたちと暮らしている。

そこでお世話のコツというか、ステージに沿って注意すべき点がなんとなくわかったので、

備忘録的に記しておこう。


これからツマちゃんと過ごしてみたいという人の一助にもなれたら幸いです。


1・卵をみつけたら

春や初夏などビオラやスミレにふわっと立ち寄ってくるツマグロヒョウモン。

きっと卵を産みたいのだろうと様子を見ていると、上手に葉の裏に産み付けていく。

一個一個それはそれは丁寧に。

この蝶は、葉裏だけでなく、苗の近くの土の上や、まったく関係のない落ち葉に産み付けていくこともある。枯れたビオラ苗にも平気で産み付けていく。

苗近くの土の上ならまだしも(孵化してから食べ物にありつける)、枯葉はないだろうと思ったことがある。

・・ある時のツマ母は、ポツっと落ちていたベコニアの枯葉に産み付けていった。その周りにはなにもない。孵化したこはたいへん困ってしまうだろうと思い、その卵はレスキューした。

卵の思い出もう一つ・・最近ではとある量販店でビオラ苗を物色中、一匹のツマ母が苗の近くにやってきて人目も憚らず卵を産み付けていった。よほど切羽詰まっていたのか、物怖じしない母だったのか。市販苗にはだいたい農薬が付いていて、これを食すと幼虫は死んでしまうので、卵を産み付けられた苗をひと鉢だけ購入した。

私にとってはきれいな花も買えたし「お土産付き」みたいなものだ。

(ほかにはアゲハ幼虫付きの山椒も買ったことがある。蝶にはなったが苗は枯れてしまった)


卵からかえす場合は、産み付けられた葉っぱを丁寧に切り取る。茎や花の裏、花がらにもついている場合があるので、丁寧に採取するのであればそこまで確認。

植物が枯れないように水処理(茎を濡れティッシュで巻いてさらに銀紙で巻く)できるようなカットであれば水処理をし、難しい場合は予備の食草(水処理済み)を必ず入れておく。卵に寄り添うようにしておいておくのがコツ。

孵化するまでにもとの葉はかれてしまうので、ベビー幼虫が瑞々しい葉を食べれるために必要。


夏場なら6日もたつと卵がだんだん白っぽくなってきて、小さな小さなモケモケ半透明の幼虫が出てくる。大きな顔に頼りない産毛の身体。この瞬間がとてもかわいい。


ちなみにツマグロヒョウモンの卵はぽろっと取れやすい。

取れてしまっても予備の葉を近くに入れておけば大丈夫。


2・孵化したての幼虫

小さな幼虫は通常の虫カゴだと、蓋の隙間からでてしまうことがあるので、市販のおかずカップなどを使うとよい。カップの蓋に空気穴をつける。
虫かごから出られない、二センチくらいにまるまではここで過ごしてもらう。

扱いは繊細に・・といってもむやみに触らずに、葉っぱ(水処理済み)を1枚程度入れておけばよい。
ちまちまと食べてくれる。
飼育器のなかにティッシュはひいておいた方がよい。フンの有無で生存確認ができるし、掃除もしやすいからだ。

そしてベビー幼虫たちは脱皮を繰り返す。
アゲハの幼虫などはご丁寧に、きれいさっぱり脱いだものを食べて処理してくれるのだが、
ツマちゃんたちは脱ぎっぱなしだ。
急にご飯を食べなくなり1日くらいじっとして次の日、まっくろくろすけのような塊ができていれば脱皮成功。

たしかにこのウニのような塊を食べたいとは思わないよね。

脱皮直後の幼虫は白い顔をしていて、トゲトゲも白っぽい。
ちなみにツマちゃんには毒はなく、トゲトゲも見掛け倒しの歯間ブラシのような手触り。
(当たり所によってはちょっとチクッとするが)







2021/04/10

ツマグロヒョウモン 99 どんな姿で羽化しても

 ツマグロヒョウモンのオス、ツマオさんが今年の1月30日に旅立った。

110日間一緒に過ごした。

旅立つ2日くらい前からハチミツ水を与えても反応が乏しく、けいれんしているような姿も見せていた。

目はだいぶ前から赤黒くなってしまっており、見えてはいなかったと思う。ただ嗅覚は大丈夫ではないかと思い、時折ビオラの花をケースにいれてあげた。


ツマオさんは羽化の時、アクシデントがあった。

殻のなかの液体が体の一部にくっついてしまっており、自力で抜け出すことができないでいた。こういうことはままある。

偶然、家人がそれを発見し、様子がおかしいと教えてくれた。

身体は抜けかかっていて、うんしょうんしょと頑張っているが、なにかひっかかってしまっているようだ。そんな状態が少し続いてしまっていたのか、翅はのびきらずに波打ってしまっていた。

家人が器用に殻と体を分離させてくれた。(前にもこういうことがあり、模型用のピンセットで器用に剥がしてくれた)

ひっかかっていたのは口吻と触覚だったようで、片方の触覚は殻にひっついたままとれてしまい、心配だったのは口吻だった。

口吻は通常、翅を広げ乾かしているうちに二本のものが一本にまとめられ、くるりと口元に収まっていく。

ツマオさんの口吻は先端が割れてしまっていた。二股のようになってしまったのだ。

これでちゃんと食事がとれるのか不安あったが、それは彼が7日生き続けた段階で解消された。

一週間以上生きるというのは、与えた蜜を吸えたということだ。安堵した。

ただ、つかまる力が弱く、見た目もあいまって、一カ月くらい一緒にいられれば…という気持ちもあった。


しかしこのツマオさんはそんな心配もどこ吹く風、驚異的な生命力で110日生き抜いてくれた。

一日1回のハチミツ水をおいしそうに吸っていた。それがまた個性的で、口吻をハチミツ水をふくませたティッシュに器用に押し付けては、象のように高く上げ、また押し付け、それを繰り返していた。

なんともかわいらしい姿だった。


飛ぶことのできないウェーブのかかった翅もそれはそれで美しく、ツンと上を向いたパルピはずっとついたままだった。(ツマグロヒョウモンのパルピは良く取れることがある)


なにより、新型の感染症で不穏な世界の中、不安と憤りとが渦巻く中で、彼の存在は一筋の光のようだった。


{ 彼を大事にできただろうか  本当に大切にできたのだろうか }

自問自答の日々である。


私にも暗い空気がまとわりつき、特に秋から冬本番にかけて正直余裕があったとは思えない。

ただツマオさんがいなくなって、春が少しづつ顔を見せはじめ、種から育てたビオラが次々と開花しはじめていくのを見て、時々寂しさと切ない思いがこころのなかを駆ける。



小さな体で生きた110日という期間は、やはり重い。

とても大きい。








2020/10/30

ツマグロヒョウモン 78 ハトちゃんのこと。

 10月29日、ツマグロヒョウモンのハトちゃんが旅立った。

ハトちゃん(メス)は羽化不全だった。

8月10日に羽化したのでハトちゃん。

人一倍(ツマ一倍?)小さくて、退化した前脚を除けば脚が二本しかなく、さらに後ろの一本は半分で切れていた。

それでもハトちゃんは日本の脚を器用に操り、ケースの蓋につかまり休んでいた。

いつも元気なこで、時々指に乗せると、その半分しかない後ろ脚がこちょこちょと指をくすぐり、小さなハトちゃんの存在を一層大きく感じさせるのだった。


毎年のようにツマグロヒョウモンを育てていると、幼虫のまま、あるいは蛹のまま死んでしまうこが出てくる。最盛期の初夏よりも、そこからちょっと進んだ季節に多いように感じる。

卵の主である親の個体も真夏で疲れてくるのだろうか。羽化不全も時々ある。

ハトちゃんもその一頭だった。

しかし、私たちは慌てない。ツマグロヒョウモンはとてもお世話しやすい蝶だからだ。

前脚に、ハチミツ水をたっぷり染み込ませたティッシュでちょんと触れると、お腹が空いていれば口吻をひゅるひゅると出してくる。それがとてもかわいい。(アゲハ類はこうはいかない…)

ごはんがいらない時はそれに眼もくれずにパタパタそこらを遊びまわるか、口吻がしまったままなのでわかりやすい。


ハトちゃんは80日生きた。

この薄暗いコロナ渦のなかで、彼女の存在に癒され、励まされた。

小さくても、脚がたりなくても、日々元気に生きている姿。

別れはいつも辛いけど、ずっとこころの中に生き続ける。



そして、羽化不全のこが、もう一頭。

ツマグロヒョウモン、オスのツマオさん。

羽化の時に触覚と口吻が引っ掛かってしまい、殻からうまく離れられなかった。

翅がよじれて、口吻も収納できず、先端が割れてすこし曲がってしまっているが、蜜は吸えるようだ。

暖かい日射しをあびると、元気に動き出す。

翅をフルフルと振動させている姿をみて、空を飛んでいる気分なのではないかと思ってしまう。

羽化してまだ18日、この美しいオレンジ色の蝶と、しばらくは一緒にいられるだろう。


2019/08/05

ツマグロヒョウモン 77 蛹化不全・羽化不全のハナちゃん

7月は長雨が続きひんやりとしていたが、梅雨が明け8月に入り一気に夏が本気を出してきた。
連日の猛暑で、日中は外に出れない…。
ツマグロヒョウモンの食草、スミレを摘みに行くのも日が落ちてから。

昨日、101頭目のツマグロヒョウモンが無事に飛び立った。
100頭も育てていたのか・そんなにいたのか~と、あらためてびっくりする。
そしてそれくらい飼育していると、中には蛹化不全や羽化不全というこもでてきてしまう。
原因はわかならい。

最初の1頭はメスだった。普通に羽化し自分の殻にぶら下がっていたが、様子がおかしい。
片方の翅が折れて、すこし歪曲していた。触覚も曲がってしまっていた。
もしかしたら、飛べないかも…と、不安になった私は、彼女をロクちゃんと名付けてお世話することとしたが、この気温なので蝶はどうしてもバタついてしまう。
動いてはネットの中を飛ぼうとする、その様子を家人が見て、飛べるんじゃないか?と呟いた。
たしかに、片方の翅は歪曲し折れているが、両翅を広げた姿は何ら問題が無い。
意を決してロクちゃんをベランダに出してみた。すると翅を広げ、青い空を普通に飛び立っていった。


次の羽化不全は、蛹化不全のこだった。
7月の下旬に1匹が蛹になったが様子がおかしかった。
逆さになって蛹になる場合、下から脱皮していくのだが、途中で脱皮ができなかったようで、脱ぎかけのトゲトゲが上部半分にくっついたままになってしまっていた。
それでも下の方は無事でいつもの輝きも見えたので、生きているには違いなかった。
無事に羽化できるのか?どんなこがでてくるのか?一抹の不安があった。
そして昨日の夜、一頭のメスの蝶が蛹にぶら下がっていたのだが、完全に羽化不全だった。やはり残った上部の皮が取れず、完全に出れない状態でいたため、翅が広げられずクシャっとまがったまま、蝶はバタついていた。
あわてて蝶と殻を引き離そうとしたがうまくいかない。そこにちょうどよく就寝前の家人がやってきたのでヘルプした。
自身の模型用のピンセットを二本使って、慎重に殻と身体を分離してくれた。風呂に入ったばかりだったのに、また汗だくになってしまっていた。
分離はできたものの、お尻とその内部の臓器が正常にできているのかがわからない。
排泄ができればよいが、できなければ…。
幸い彼女は体力はあるようで、ケースの蓋にしっかりとつかまりぶら下がって夜を越した。

ここでふと思ったのだが、羽化不全のこはなぜか夜に羽化することが多いように思う。
特にこのこは、羽化が夜であったことが不幸中の幸いだった。器用な家人がいたから、彼女は九死に一生を得たといえるのだ。私ひとりでは器具もスキルもなく、無理だったかもしれない…。

今日、恐る恐る彼女を様子を見ると、ちゃんと蛹便をしていた。
ハチミツ水も2回与えた。最初、でっぱなしの口吻が体にくっついてしまっていたので、それを引き離し蜜をあたえると、ゆっくりゆっくりと吸いだした。ただ口吻が正常に機能しているかは定かでないので、しばらく様子をみることになる。
2回目の食事ではおしっこもしたので、排泄には問題なさそうだ。それだけでもほっとする。

翅は文字表現が難しいほど曲がりくねり、見た目がエリマキトカゲのようになってしまっているが、私は羽化不全のこをみると不思議にかわいく思えてくるのだ。
この状態では長くないかもしれないが、命の限りまでせいいっぱいお世話しよう。

名前は8月・通算7番目の羽化不全のこで、ハナちゃんと名付けた。





2019/06/27

ツマグロヒョウモン 76 美しき輪舞

猫は猫好きがわかるという。
同じように、蝶は調好きがわかるのではないだろうか。
そう思う瞬間がある。




我が家のツマグロヒョウモン、次々と羽化している。
今日は49号のメスが飛び立った。このこは蛹になった直前、食糧不足のために仲間に側面をかじられてしまったこ。
軽傷で済んだのだが、その影響か、片方の触覚が無かった。
しかし美しい蝶にはかわりなかった。

(ちなみに、蛹化直前に痛手を受けた個体は、羽化のタイミングが早い気がする。
この時期の羽化は約10日かかるが、このこは19日早朝に羽化し27日に羽化に至ったので、9日で羽化したことになる。前回もそうだった。)



彼らを見つめていると、様々なドラマに遭遇する。

***
先日の羽化ラッシュではメスが3頭のオスが1頭だった。
彼らは虫かごからだしても、気が乗るまでは飛ぼうとしない。
元気の良いメスの蝶がいち早く威勢よく飛び立った。
飛び立つ瞬間、私の視線の奥に、立派なオスの姿が。
さらに前、羽化したオスだろう。彼女が飛ぶと同時にそのオスも飛び立ち、
くるくると円を描きながら二頭で大空を舞った。

このこが旅立ったその瞬間、その先に。


この姿、胸に深く、ジーンときてしまった。
それは姫を迎えに来た、白馬の王子のごとく、ロマンチックな光景だった。


***
昨日は午後、外で園芸作業をしていた。
そこに、一頭のツマグロヒョウモンのメスが優美にふわりふわりとやってきた。
そして私のすぐそばにとまった。こちらを向いてなにか挨拶をしてくれている感じだったので、私も心と声で{こんにちわ}と言うと、彼女はまたふわりと飛び立っていった。
もしかしたら…というかおそらく、私が育てたツマグロヒョウモンだったのだろう。
私のことを覚えてくれていたのだろうか。
そうだったら嬉しい。そしてそう、思いたい自分がいる。

こちらはオス。飛翔力は高い。オレンジ色が青空に輝く。

翅は裏も美しい。


***
そして今日、曇り空で少し風の強い午後だった。
外にでると、一頭のオスが舞い降りてきた。
そしてそれを追いかけるようにメスのツマグロヒョウモンがやってきて、
2頭がくるくると円を描きながら、私のそばにやってきた。
目の前で繰り広げられる、その優雅で可憐な輪舞に、思わず眼が釘付けになってしまった。

{ なんて美しいのだろう この風景をいつか描いてみたい }

その後、メスが地上に降り、誘うようにその美しい翅をふわりふわりと動かすと、それに見惚れるかのようにオスが向かい合い、翅を小刻みに動かした。
そしてメスがふわっと舞い上がるとそれを追いかけるようにしてオスが飛ぶ。
そして上空でくるくると、そのロンドは続いた。
お互いが生まれたこと、そして出会ったことへの喜びを、小さな身体いっぱいに表しているようだった。


***
悲しい出来事もある。
外の鉢植えのそばで不可解な死を遂げている仲間が数匹いた。
それは無残な状態だった…。病による死には見えない。残留農薬の影響か。
ビオラは植え付けしてから10カ月も経つと安全になる場合があるが、
そうでないものもあるようだ。
たぶん、浸透持続力の強い農薬を使っていたのではないだろうか。そこまでは私も分からない…。ただこの時期になってもアブラムシが少なく、他のイモムシもつかないような状態の株は、そうである可能性が高いように思う。

その中で安全な無農薬スミレを食べて、無事に蛹になったこもいた。
そのなかの一匹は、ベランダの隅から隅に歩き、スチールラックの上部で蛹になっていた。目視できたのは昨日、とても驚いた。
蛹は環境に合わせて色目が若干変わるようだが、このこは錆びたスチールラックで蛹化したので、蛹の色目も少し錆色になっていた。それがまたアーティスティックで素晴らしかった。

小さな体でえっちらほっちら長い距離を歩き、頑張った集大成。
ここからさらに羽化までが最大の難関で大仕事。


6月上旬くらいに一斉に抜かれたスミレも復活してきている。
今度は余計な雑草が無くなったおかげで日当たりが良くなったようで、成長が早く葉色も良い。
なんともたくましい植物である。
そして春には華奢で可憐な花を魅せてくれる。
愛しきツマグロヒョウモンの食草でもあるこのスミレが、私はとても好きである。



2019/06/20

ツマグロヒョウモン 75 おしりをかじられても…

イモムシ、10匹程度なら心穏やかにお世話ができる。

今、いったい何匹いるのだろうか。
物事、何事も程度というものがある。

ツマグロヒョウモンはすでに20頭が無事に羽化し青空のなかを旅立った。
それは楽しげに、生まれてきた喜びを謳歌するように飛ぶのである。
この姿が見たくて、日夜せっせとスミレを摘んでは、与えるのだが……。

正直って、多頭飼育は難しい。
幼虫はなるべく1ケースに7匹くらいとし、育ちにあわせて分けていた。
なるべく蛹化と羽化のタイミングを合わせるためだ。
それでも事故が起きる…。しかも世話人の責任は大きい。

最も警戒すべきは、ぶらさがった前蛹のこがいよいよ蛹になるため脱ぎ始めるとき、食草が入ってないと、腹を空かした幼虫たちがその柔肌に歯を突き立ててしまうということだ。

一番近所のスミレが「雑草」とされて除去されてしまった今、もはやスミレは貴重となってしまい、家のプランターの安全なビオラやスミレと併用しながら、遠方より摘んできたスミレを頃合いを見計らって(空腹で動き回る頃)、チマチマ与えるしかなかった。

最初の事故がおこってしまったとき、それは朝方で、夜に与えたスミレが足りなかったことが原因だった。
食欲旺盛のおおきな終令幼虫が、まさになったばかりの蛹をかじり、赤い体液がケース側面にスプラッシュしていた!
その姿に睡魔も吹っ飛び、急いで「かじり虫」と蛹を引き離した。
蛹はゆっくり左右に動き、血のような赤い体液が滴ってきたが、そのうち止まりかさぶたのようになった。
もう、蛹の生命力に頼るしかなかった。

そして9日後の6/14、無事に大きなメスの蝶が羽化していた。自責の念にかられていたので救われた気分になった。
多少かじられても大丈夫なようだ。蝶の生命力に驚く他なかった。

しかしおろかなヒト(私)は、あやまちを繰り返す…。

ある日、食べ盛りの幼虫7匹がいるケースへの夜のスミレ配給が少なかった。
一匹前蛹になったこがいたのだが、朝方最後の脱皮の最中に、空腹の幼虫がまたもやその身体をかじってしまったようだった。しかも今回は発見が遅かった……。
苦しみに悶えたように変形してしまったその蛹は、もしかしたらダメかもしれない……。
寝起き姿で愕然としてる最中に、今度は別ケースでおなじ事件が!
それはすぐに引き離せたので、蛹にかさぶたはできてしまったものの、なんとか大丈夫そうだった。

その日のうちに虫かごを追加購入し、1ケースに7-8匹入っていたものは、改めて3-4匹に分けた。
そして今はかなり遠方になってしまったが、暑いなかスミレを摘みにいった。

冒頭の通り、
少数ならば心穏やかに飼育できる。
しかし、理由があるにせよ、50匹以上にもなると、世話人も息切れ激しくなってくる。

現在、終令幼虫はほぼ前蛹+蛹となり、いまではチビが8匹程度なのでゴールがみえてきたが、
今日も卵を産み付けに、母蝶の美しい姿が見えた。

バタフライガーデン=憧れである。
しかし今のプランターの状態は、他者が驚くトゲトゲイモムシガーデンである。。

2019/06/11

ツマグロヒョウモン 74 心臓に悪い…

ツマグロヒョウモンにすっかり認知された、我が超極小ベランダガーデン。
5月には母蝶が毎日のように訪れ、時には友達連れでやってきて、次々と卵を産み付けていった。
無農薬で育てたスミレやビオラもあるが、アブラムシ避けに少し農薬をつかっているものもあったため、そういう苗に植え付けられた卵はできるだけピックアップした。


そして現在・・・
あらためて幼虫の数を数えてみたら、すでに蛹になったものもいれて60匹はいるだろうか。
今年は大盛況である・・・。


家のスミレは保険的にとっておきたいため、食用のスミレは近くの川沿いで調達した。
長い道をスミレがフサフサと茂っていたので、すっかりそれに安堵していたのもつかのま・・・

今日、嫌な予感がして川沿いを確かめに行ってみると、
スミレがすべて、抜かれてしまっているではないか!
例の「お掃除」がはいってしまったようで、この時期の予期せぬ事態に思わず頭が真っ白に。。。
だんだんと気持ちも悪くなる始末・・・。

頭の中でぐるぐる回る。
{ 今、蛹になったこは10匹くらいで、もうすぐなるこも〇匹だから、
たべざかりのこは〇〇匹、養育するにはどうするか~(←焦るあまり詳しい数字が浮かばない) }

11月頃に植えたビオラは切り戻しのおかげでわんさと茂っている。
この鉢で終齢間際まで育っていた子がいたので、たぶん初期の農薬も抜けているだろう。
この大きなビオラは救世主になるかもしれない。
アブラムシにたかられることなく健康的に存在しているビオラもまだまだある。
スミレは10鉢くらいあるが、葉数が少なくちょっと心もとない。

ああ、こんなことになってしまうとは…と深く傷つきつつ、
家のビオラやスミレを総動員し、別の場所のスミレも日々確認して、
なんとかせねばと、
心中まったく穏やかではない。


さて、最初に蛹になったこの羽化予定が6月14日と迫っている。


2019/05/23

ツマグロヒョウモン 73 母ツマはなぜ枯葉に卵を産む?

季節も初夏の様相となり、晴れて穏やかな日は蝶たちが忙しく飛び交っている。
ずば抜けて飛翔力の高いアオスジアゲハは、クスノキの上の方でひゅんひゅんと飛び、アゲハチョウは柑橘系の木を求めて、あっちへいったり、こっちにきたり。
小さな小さなシジミチョウも、開けば美しいその翅をパタパタと動かしながら頑張っている。
蝶好きにとっては嬉しいシーズンだ。

そしてある晴れた日、愛しきツマグロヒョウモンのお嬢様が、ふらりと我がベランダにやってきた。
風が少々そよぐ程度の穏やかな日、美しい翅を広げて優雅に滑空してみては、旋回してビオラの鉢植えに戻ってみたりと、なんとも楽しげである。
なんといっても、彼女の一大仕事は卵を産み付けること。
私の存在を気にすることもなく、あちらこちらを確かめては、彼らの食草に産み付けていく。しかしそれがなんだかおかしい。
彼女はおもむろに鉢の奥の方に潜っていくと、おしりをくっつけているのだが、それがほぼ枯れた葉っぱなのだ。
ひどいときは床に降りて、そこらへんに転がっている枯葉に産み付けている!
これはレスキューせねばと、時間が許す限り彼女の動向を見ていた。

メスのツマさんは我が鉢植えだらけのベランダを気に入ってくれたらしく、ふわりふわりと飛びながら長く滞在してくれた。ツマグロヒョウモンのために育てているスミレの鉢もそこかしこにあったのだが、それには目もくれず、なぜかビオラの枯葉に産み付けていく…。
あとで枯葉を確認し、卵を採取。みつけたのは全部で8個。このこたちを養育すると決めた。かろうじて、スミレの新芽に産み付けられたものもあったので、それはそのままにしておいた。

アゲハは必ず、レモンやキンカンの新芽に産み付けていく。一枚一枚脚で確かめ、それはそれは大事そうに…。
しかし、ツマグロヒョウモンはなんてきまぐれなんだろう。
やってきた母ツマは枯葉以外に、食草でない葉っぱにも産み付けていた。
食草付近の土にも産み付けていくことがあるので、孵化した子供たちがかなりタフということなのか…。
ともあれ、またツマグロヒョウモンたちと過ごせる夏がやってきた。

5日ほどして卵7個が孵化した。黒いトゲトゲ幼虫も最初はふわふわとした産毛の赤ちゃんである。

孵化したて。産毛がふわふわ。

孵化してから何回かの脱皮後。ようやくトゲトゲとしてくる。

***************

晴れた日は毎日のようにツマグロヒョウモンがやってくる。どこかから噂を聞きつけてくるのだろうか?あそこはご飯もあるし、育児施設もあるそうよ・と。。

目の前で卵を産み付ける母蝶。

二頭の美しい蝶がベランダを舞っている光景には、なんだか胸にこみあげてくるものがあった。
スミレやビオラなど花を育てて約1年半、待ちに待っていた光景だった。
そして母ツマたちは私がいても構わずあちこちに産卵する。目の前で産み付けていく時もあった。人なつっこい蝶である。
もう寿命が来ていて枯れるばかりのビオラに産み付けられたものなど、回収した方がよい卵は回収し、無農薬のスミレや若いビオラに産み付けられたものは様子を見ることにした。


そして今日、キンカンの鉢植えの根元で一頭のツマグロヒョウモンが亡くなっているのを発見した。翅がきれいなまだ若そうな蝶だったが、お腹はぺたんこだった。根元にはスミレがこぼれ種で育っていた。仕事を終えて、天寿を全うしたのだろう。
身体をそっと持つと、空気のようにふわっと軽かった。
お疲れさまと声をかけた。








2018/10/11

ツマグロヒョウモン 72 今年はこれで、最後かな?

めっきり秋めいてきた今日この頃。
真夏にはあまり姿を見なかったツマグロヒョウモンが、天気の良い日にはよく見かけるようになった。

そして我が家でも、またまたツマグロヒョウモンラッシュが。
狭いベランダの小さな鉢植スミレに、今度は11匹の幼虫がいた。それを見つけたのは9月17日頃。
そのスミレは彼らを養育できる量ではないので、大小11匹を保護し、再びスミレを摘む日々がやってきた。
一日30枚くらい摘んできたが、一日でぺろりと食べてしまう。それはそれは食欲旺盛。
スミレが無くなると、キッチンペーパーを敷き詰めたケース内を{飯が無いぞ~}と言わんばかりに歩き回るので、夜中などカサカサとうるさかった。
雨天だろうと、夜だろうと、私は彼らのお食事を調達することに…。

ツマグロヒョウモンを飼育していていつも思うのは、「割りばし=必需品!」ということ。
ケースに入れておけば、必ず彼らはこれを使う。
ある時は休憩場所に、またある時は蛹化場所として。
割りばしの先にくっついている姿、そのシルエットはまるで歯ブラシ。
ケース内のすべての幼虫が割りばしにくっついている姿は、毛虫系が苦手な人はきっと悶絶するだろう。
とにかく彼らは割りばしが好きだ。

やがて11匹は次々と蛹になった。失敗もなく、順調に。

やはり暖かい日々の羽化は早い。
10月5日は羽化ラッシュだった。ばらばらに蛹化したはずの7頭が不思議と一斉に羽化したのだった。
9号オス、10号・11号・12号メス、13号・14号・15号オス

そして6日、16号・17号メス
さらに8日18号メス、9日19号オス

今回は11頭中、6頭がメスだった。5日には同じケース内の3頭が羽化しすべてメスであったのだが、その3頭がそろった時は本当に美しい眺めだった。
よくもまぁオスメス半々に産まれてくるものだと思う。

9月17日からわずか3週間…。この時期、別れはいつもあっという間だ。
だからこそ、11月に外で保護し約100日一緒に過ごしたオスのよっちゃんと、12月に幼虫で保護し3月に羽化、それから約100日を共にしたメスのミコちゃんには特別な想いがある。


外でアゲハやツマグロヒョウモンを見かけると、もしかしてうちのこかな?と思ってしまう、そんな心の癖がついてしまった。

2018/08/21

ツマグロヒョウモン ~71 ペアで羽化。

我が家の小さな鉢植えにいたツマちゃんの幼虫7匹。

8月7日に最初のオスが羽化し、その後は羽化ラッシュ。

8月8日、オス・メス。
8月9日、オス・メス。
8月10日、オス・メス。

なんと連日のペア羽化。
このまま結婚してしまうのだろうか?いやいや、同じ母親から生まれているだろうから、
それはないかな??

メスに比べてオスは一回り小さい。
そして、夏の青空に冴える鮮やかなオレンジ。
メスはいわずもがなの美しさ…。

冬は羽化不全のこたちと何カ月も過ごしたけれど、夏は出会ってあっというまのさよならなのだ。

2018/08/07

ツマグロヒョウモン 70~意外と早かった、再会。そして雨。

ことのほか思い入れの強い蝶=ツマグロヒョウモン。
秋口まで、しばらく育てることはないだろうと思っていた。

ツマグロヒョウモンの食草であるスミレは川沿いにあふれるように生い茂っていたが、7月の初めに、他の草花と一緒にぞっくり抜かれてしまっていた。
思うに夏と冬、年に2,3回、市か何かが草取りをするのだろう。仕方がないと思いつつがっかりしていた矢先だった。

我が家の小さな鉢植えのスミレの様子がおかしくなった。
なにやら葉がレース状にかすれている。また尺取虫か何かが付いたのだろうとほっておいたのだが、今度は大きなかじりあとが付いている。もしやと思い葉の裏をめくってみると、見覚えのあるトゲトゲが…。

ツマグロヒョウモンの幼虫が大中小、7匹ついていた!
意外に早かった再会だった。よくぞこんな狭いベランダまで産みにやってきてくれた。
もしかしたら、川沿いのスミレが無くなり途方に暮れて、なにかの記憶をたどり、{そういえばあそこの家はなんとかしてくれる}とやってきたのではないだろうか!



とても嬉しかった半面、この鉢植えのスミレでは葉の枚数が絶対足りないとすぐに思った。
川沿いのスミレはすべて抜かれてしまっている。が、反対側はどうだろう?
急いで確かめに行った。

反対側の道路のスミレはまだ無事だった。抜かれることもなさそうだ。
こちらのスミレは川沿いのスミレと種類がやや異なり、タチツボスミレなどハート形のかわいい葉っぱが特徴的なスミレがたくさん育っている。
もちろん、細長い葉のスミレもあるで、とりあえず何枚か葉っぱを持ち帰った。

ツマグロヒョウモンとの生活がまた始まった。

7匹もいると葉の減りも早く、取っても取っても、次の日には無くなってしまった。
しかたなく朝方、まだ気温が落ち着いているときに、通勤で急ぐ人々を尻目に、葉を摘んでいった。

夏のツマグロヒョウモンの成長は早かった。
冬では蛹化するまで1カ月、羽化にも1カ月くらいかかっていたのが、7月25日に保護して、7月31日には最初の1匹がケースの蓋裏にぶら下がった。
それから次々と思いのまま蛹になった。7匹中、4匹がケース内に入れておいた割りばしでなった。
アゲハはめったに割りばしを使わなかったが、ツマグロヒョウモンの幼虫はすぐさま「休み処」として、または「蛹処」として割りばしを活用した。これは今まで例外がない。みな割りばし好きだった。


そして本日一頭が羽化した。オスだった。
朝見たときはすでにケース内で「出してくれ」と言うようにパタパタとしていた。そこで、あろうことか、その欲求に素直に従い、ベランダから放蝶してしまった。
外は曇り空、今にも雨が降ろうとしている…。
蝶はハタハタと気弱そうに飛ぶと壁につかまった後、向かいの屋根に向かって飛び立ち、そのまま屋根に止まってしまった。
案の定、しばらくすると雨が降ってきた。かなり大粒である。
{ああーしまった}と思った。いつもなら天気予報を入念にチェックし雨ふりなら外に出さない。出したときはまだ曇りで、台風のため明日からはもっと天候があれるから今のうちだと思ったがために、放蝶に至ったのだった。
同じ日に羽化したアゲハはさっさと飛んで行ってしまったことと比べると、やはり種の個体差か。アゲハはやはり大きいし、たくましいのだ。

雨はどんどん強くなり9時から12時ごろまで降り続いた。その間、ツマちゃんは屋根の上で翅をたたみ、じっと耐え忍んでいた…。
{こっちにおいで、こっちにおいで!!}とツマちゃんに向かって(時には声に出し)何度も念じたが、通じるわけがない。
調べると、蝶の鱗粉は防水仕様のため雨をはじくというが、大丈夫だろうか。

後ろ髪をひかれる思いで出かけ、3時ごろ帰ってくると、雨がやみ空気もやや乾燥してきているのに、まだツマちゃんは屋根の上にいた。
{もしかして寒さで動けない?ああ、屋根に飛び乗れたら…}
心配で様子を見ていると、ゆっくり翅を広げ、動かしている。
お、飛ぶ気になったかと思いきや、翅を閉じてまたじっとしてしまう…。
それを繰り返しながら時間が過ぎた。
しばらくしてベランダにでて屋根を見ると、もうそこにはツマちゃんはいなかった。
身体が温まって、飛べたのだろう。よかった。。本当にほっとした。
そして雨が降りそうな日には絶対出すまい、と心に誓った。


こちらはトレニア。別名=夏スミレ。
爽やかな色と楚々とした雰囲気に癒されます。

2018/07/06

ツマグロヒョウモン 69~ ありがとう。そしてまた、出会おう。

昨年から種より育てたスミレ。小さなそのポットに産み付けられたツマグロヒョウモンの幼虫が6月26日、天気の良い日に無事に羽化し、大空へ旅立った。
その日はアゲハ5号も一緒に羽化した。

蛹になってから10日だった。やはり、冬場ミコちゃんが羽化に1カ月かかっていたのを考えると、この時期は早い。ツマグロヒョウモンにとってもこれが通常の羽化なのだろう。
いつものように鮮やかなオレンジ色。今回はオスだった。
ケースの蓋をあけると一瞬で大空へ舞い上がり、透き通ったブルーの空に消えて行ってしまった。

これで、昨年10月から続いていたツマグロヒョウモンとの付き合いはいったんピリオドとなった。
トゲトゲ芋虫もメタリックな蛹もない生活は、なんとなく寂しい感じがする…。

我が家の狭いベランダには、サイズは小さいが所狭しとスミレの鉢が並んでいる。
一番立派に育っているのは3月頃に購入したニオイスミレだが、これにはツマグロヒョウモンは産卵せず、小さなポットの地元スミレに産み付けていった。やはり好みがあるのだろうか。
また母ツマさんがベランダに訪蝶し産み付けてくれることを願いつつ、スミレの栽培は難しいが、続けて頑張ってみよう。


いろいろな気付きを私に与えてくれた多くのツマグロヒョウモン達、
本当に愛らしかった鮮やかなオレンジ色の蝶達、
けなげに生きていた彼らに、両手ではあふれるほどの多くの感謝を込めて…。


2018/06/21

ツマグロヒョウモン58~ 幼虫が蛹化

6月17日
ミコちゃんロスを優しく包んでくれたツマグロヒョウモンの新しい命。

鉢のスミレについていた幼虫は順調に成長し、ついに16日前蛹となり、
17日に無事蛹化した。

昨年、出会った最初は{うっ?!}となったものの、いまでは愛くるしく見えるトゲトゲのイモムシ。
赤と黒が好きなので、それもあるかもしれない。

宙ぶらりんと、かつての見慣れた形となり、蛹は煌めく突起が8つ。
これは命の光だ。

大きさ的に私はメスだと思っている
楽しみな羽化は6月30日頃か。

2018/06/11

ツマグロヒョウモン 57〜 ミコちゃんの旅立ち、そして次の命。

ここ二日間、雨が続く。ずっと降りしきっている。

空が私のかわりに泣いてくれているようだ。


ミコちゃんは美しいツマグロヒョウモンのメスだ。
南国情緒漂う色彩がいつもいつも素晴らしかった。
我が家の「姫様」だった。

ミコちゃんとの出会いは思い出深い。
昨年の12月。川沿いのスミレが一掃されてしまい、コンクリートの壁面にただ一匹取り残されていた幼虫。
彼女を見つけたのは薄暗い夕方、冬の寒いころだった。
他の仲間はおそらく、スミレと一緒に除去されてしまったと思う。
このままでは越冬もできず凍え死んでしまう。
大事に大事に、1センチほどの小さい幼虫を持ち帰った。

冬場はわずかに残ったスミレも枯れていることが多く、食べれる葉を探すのに苦労した。
ほうぼう、あちこち歩き回った。
現在は見事に川沿いのスミレは再生し、あふれんばかりに繁っている。


9日からミコちゃんは様子がおかしかった。一番心配したのは小刻みに震えていること。
それでも、夕方ハチミツ水を吸った。それが最後の食事となった。

10日、ミコちゃんは仰向けになっていた。
夜中に力尽きたのだろうか…。前日は側面にくっついていた。

前日、お休みの挨拶の時、呼びながら指を差し出してみると、ミコちゃんは方向を変えて近寄ってきてくれた。
彼女はきっとわかっているのだと思った。いや、そう思いたかっただけかもしれない。

ミコちゃんは星になっても、美しかった。
仰向けになった彼女をそっともとに戻した。そしてティッシュをしいた紙の箱に移すとき、柔らかい翅が風でふわりと動いた。まるで生きているようだった。
ツマグロヒョウモンは後ろ翅も美しい。光に当たるとキラキラと光る。
ミコちゃんの翅も、朝日を浴びてキラキラと光っていた。

3月から種まきし、最近咲き始めたコスモスと、冬場から咲いているビオラで花束を作り、箱に入れた。


ミコちゃん、どうか安らかに…。

ありがとう。

あなたはとても美しかった。

これからは思う存分、空を飛んでください。


ツマグロヒョウモンとの付き合いが始まったのは、この絵を描いた2カ月後でした。
それまでは、なかなかカメラにも収まらない憧れの蝶でした。
憧れの蝶だからこそ、この手で描きたいと思ったのでした。

今では、私のなかでいちばん身近で、思い入れの深い蝶となりました。


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最近、嬉しい便りがあった。
昨年9月に種をまき、3月にようやく芽吹き、育ったスミレに、新しい命をみつけたこと。
トゲトゲと見掛け倒しのいかつさがなんとも愛嬌のある、小さなツマグロヒョウモンの幼虫だ。

ツマグロヒョウモンの母蝶よ、今あちこちにスミレが茂っているのに、
よくぞここまで来て、卵を産んでくれた。
あなたがせっかく選んでくれたスミレなのだけど、残念ながらとても小さい株なので、
私がこのこを責任をもって養育します。
そして蝶になったら、夏の大空を颯爽と羽ばたいてもらいます。
オレンジの鮮やかなツマグロヒョウモンは、やはり真夏の空が似合うから。




2018/06/09

ツマグロヒョウモン 56〜 ミコちゃん100日目を迎える

今日は真夏のような暑さ。そして明日からまた梅雨空が戻ってくるとのこと。

ミコちゃんは今日で100日目を迎えた。

昨日から元気のないミコちゃん…。
ひっくり返ってももう自分の力ではもとのに戻れない。また食事の後、いつもネットの側面へトコトコ歩いていったのだけど、それも難しい様子…。
そして今日は触覚やハネが小刻みに震えている。
家人が珍しく心配そうにネットの中を覗いていた。

もうすぐ、さようならかもしれない……。

朝ごはんの蜜も、口吻を伸ばそうとしたが途中でクルッと巻いてしまい、吸わなかった。

強い日差しは避け、しばらく様子を見て、お昼過ぎにもう一度ハチミツ水をあげた。
今度は口吻をゆるゆると伸ばし、吸ってくれたようだった。
まだまだ生きようとしていると感じた。

そしてその後、時間をかけて自力でネットの側面へ移動していた。

2018/06/05

ツマグロヒョウモン~保護したツマさんたち(ミコちゃん)55~  

6月5日
今日でミコちゃんは羽化してから96日。
幼虫時代も入れると約7カ月一緒にいることになる。

翅はだいぶボロボロだけど、まだまだツマグロヒョウモンのメス特有の美しさがある。

最近、ちょっとびっくりしたことがあった。
4日の朝、ミコちゃんの様子をみると、ミコちゃんが仰向けにひっくり返っている…!
死んだように脚をキュッと縮こませている…。
以前は仰向けになっても、翅(背筋?)の力で元に戻ることができた。
しかし、それもできなくなってしまったようだ…。
この状態でどのくらいいたのだろうか?
指を差し出すと、捉まってきたので、そのままくるっと元に戻した。
それからすぐに蜜をあげると、お腹がすいていたのかすいすいと飲んでくれた。

ほっとした…。

大きく羽ばたくこともなく、動きがだいぶゆっくりとなったが、蜜も普通に飲んでいるし、
今現在もネットの側面につかまって、涼しい風を浴びている。

ネットは特大サイズから、小サイズに変えた。
万が一、上から落ちてしまったとしても、ダメージが少ないかと思ってそのようにした。

ツマグロヒョウモンと一緒に過ごすことがすっかり日常になった今、
まだまだ一緒にいたいと思うが、ミコちゃんはどうだろう。。


街ではやっと、ツマグロヒョウモンのオスがすばやく飛んでいるのを見かけたが、アゲハやモンシロチョウほど目視できない。
3月頃に買ったニオイスミレももりもり茂っているので、どうぞ卵を産み付けて頂戴という感じなのだが。
知らない(または興味のない)ガーデナーからは確実に目の敵にされ
赤と黒のトゲトゲの、いかついお子様に早く会いたい…。

2018/05/21

ツマグロヒョウモン~保護したツマさんたち(ミコちゃん)54~ ツマちゃんとミツバチ 

連日、爽やかに晴れている。
窓を開けていると、涼やかな風が入ってきて気持ちが良い。

ミコちゃんは羽化して81日目となった。
翅は欠けそうで欠けていない。最近は激しく動くこともなく、ネットの中を翅を優雅に動かしながら移動している。


外では連日、メスのツマグロヒョウモンがビオラに訪れてくれた。

ある天気の良い午前中、やわらかい風のなか、ゆったりと滑空しながら舞い降りた一羽のツマグロヒョウモンのメス。
まだ羽化したばかりだろうか、翅がとても瑞々しい。
ふわっと私の周りを飛んだかと思うと、確かめるかのように鉢植えの花に次々と止まって行った。
マリーゴールド、真っ赤なバーベナに、クローバーの鉢(これにはテントウムシの大家族が住み着いてくれている)、そして冬から咲き続けているビオラ。
ビオラに止まった時、いつも着ているミツバチがツマグロヒョウモンのおしりをひょいっと押した。それに驚いたツマちゃんはささっと飛んで行ってしまった…。

花はたくさん用意しますから、ハチも蝶も、仲良くやってくれればよいのに…。
縄張りのようなものがあるのだろうか。


そういえば樹液にも蝶やハチが集まってくる。恐ろしいのはあのスズメバチ。
いつだったか、近所の森の木にルリタテハが二頭いるのを見つけ、近寄ると、そばに大きなスズメバチがいて、恐る恐るその場を離れた覚えがある。。

今読んでいる虫の本によれば、その肉食のスズメバチを追い払う蝶がいるという。
国蝶のオオムラサキ、それもメスだとか。
彼女がやって来ると、スズメバチほか、どの虫も退くという。そして追い払われた弱い蝶たちが樹液を吸いに戻ってくるのだという。

虫の世界は知れば知るほど面白く、本当に奥深い。



夏の花。サフィニア モモイロハート。

こちらはサフィニア ブーケ。摘心なしでこんもり咲くけど、
茎がちょっと折れやすい…。


2018/05/15

ツマグロヒョウモン~保護したツマさんたち(ミコちゃん)53~ 

今日も穏やかに晴れているが、気温は28℃に迫ろうとしている。
四季の流れが速すぎないかと思うこの頃…。

ミコちゃんは羽化して75日、蝶界ではだいぶお年寄りになってきたことだろう。
左の翅が大きく欠けてしまいそうで、ハラハラしている。
それでも、翅を広げた姿はやはり美しいのだった。

昨日、家のそばのビオラに、ツマグロヒョウモンのメスが訪れてくれた。
立派なサイズのメスだった。

オスの姿はとんと見かけないのだけど、無事に卵を産んだのだろうか?



2018/05/07

ツマグロヒョウモン~保護したツマさんたち(ミコちゃん)52~ 

今日はあいにくの雨模様。

ミコちゃんは左の翅に亀裂が入り、大きく欠けそうで、私自身ハラハラしている。
こういう曇りの日は、外の蝶たちも休んでいることだろう。
水曜日までぐずつくようだから、ミコちゃんも活動のお休みタイムとしよう。

外では早くもコスモスが咲き始めている。
ツマグロヒョウモンたちが大好きな花である。昨年の秋、この花に止まっている姿を多く見かけた。

川沿いでは再生したスミレがたくさん生い茂り、虫たちにとっては食べ放題なのだけど、ツマグロヒョウモンの幼虫は見かけない。
近所で飛んでいる姿も目にせず、ちょっと寂しい気持ちになる。

5月6日撮影のミコちゃん。まだまだ元気です。