Kyon {Silence Of Monochrome}

Kyon {Silence Of Monochrome}
上記をクリックするとKyonイラストのホームページとなります。ぜひご覧ください。

2019/08/05

ツマグロヒョウモン 77 蛹化不全・羽化不全のハナちゃん

7月は長雨が続きひんやりとしていたが、梅雨が明け8月に入り一気に夏が本気を出してきた。
連日の猛暑で、日中は外に出れない…。
ツマグロヒョウモンの食草、スミレを摘みに行くのも日が落ちてから。

昨日、101頭目のツマグロヒョウモンが無事に飛び立った。
100頭も育てていたのか・そんなにいたのか~と、あらためてびっくりする。
そしてそれくらい飼育していると、中には蛹化不全や羽化不全というこもでてきてしまう。
原因はわかならい。

最初の1頭はメスだった。普通に羽化し自分の殻にぶら下がっていたが、様子がおかしい。
片方の翅が折れて、すこし歪曲していた。触覚も曲がってしまっていた。
もしかしたら、飛べないかも…と、不安になった私は、彼女をロクちゃんと名付けてお世話することとしたが、この気温なので蝶はどうしてもバタついてしまう。
動いてはネットの中を飛ぼうとする、その様子を家人が見て、飛べるんじゃないか?と呟いた。
たしかに、片方の翅は歪曲し折れているが、両翅を広げた姿は何ら問題が無い。
意を決してロクちゃんをベランダに出してみた。すると翅を広げ、青い空を普通に飛び立っていった。


次の羽化不全は、蛹化不全のこだった。
7月の下旬に1匹が蛹になったが様子がおかしかった。
逆さになって蛹になる場合、下から脱皮していくのだが、途中で脱皮ができなかったようで、脱ぎかけのトゲトゲが上部半分にくっついたままになってしまっていた。
それでも下の方は無事でいつもの輝きも見えたので、生きているには違いなかった。
無事に羽化できるのか?どんなこがでてくるのか?一抹の不安があった。
そして昨日の夜、一頭のメスの蝶が蛹にぶら下がっていたのだが、完全に羽化不全だった。やはり残った上部の皮が取れず、完全に出れない状態でいたため、翅が広げられずクシャっとまがったまま、蝶はバタついていた。
あわてて蝶と殻を引き離そうとしたがうまくいかない。そこにちょうどよく就寝前の家人がやってきたのでヘルプした。
自身の模型用のピンセットを二本使って、慎重に殻と身体を分離してくれた。風呂に入ったばかりだったのに、また汗だくになってしまっていた。
分離はできたものの、お尻とその内部の臓器が正常にできているのかがわからない。
排泄ができればよいが、できなければ…。
幸い彼女は体力はあるようで、ケースの蓋にしっかりとつかまりぶら下がって夜を越した。

ここでふと思ったのだが、羽化不全のこはなぜか夜に羽化することが多いように思う。
特にこのこは、羽化が夜であったことが不幸中の幸いだった。器用な家人がいたから、彼女は九死に一生を得たといえるのだ。私ひとりでは器具もスキルもなく、無理だったかもしれない…。

今日、恐る恐る彼女を様子を見ると、ちゃんと蛹便をしていた。
ハチミツ水も2回与えた。最初、でっぱなしの口吻が体にくっついてしまっていたので、それを引き離し蜜をあたえると、ゆっくりゆっくりと吸いだした。ただ口吻が正常に機能しているかは定かでないので、しばらく様子をみることになる。
2回目の食事ではおしっこもしたので、排泄には問題なさそうだ。それだけでもほっとする。

翅は文字表現が難しいほど曲がりくねり、見た目がエリマキトカゲのようになってしまっているが、私は羽化不全のこをみると不思議にかわいく思えてくるのだ。
この状態では長くないかもしれないが、命の限りまでせいいっぱいお世話しよう。

名前は8月・通算7番目の羽化不全のこで、ハナちゃんと名付けた。





2019/06/27

ツマグロヒョウモン 76 美しき輪舞

猫は猫好きがわかるという。
同じように、蝶は調好きがわかるのではないだろうか。
そう思う瞬間がある。




我が家のツマグロヒョウモン、次々と羽化している。
今日は49号のメスが飛び立った。このこは蛹になった直前、食糧不足のために仲間に側面をかじられてしまったこ。
軽傷で済んだのだが、その影響か、片方の触覚が無かった。
しかし美しい蝶にはかわりなかった。

(ちなみに、蛹化直前に痛手を受けた個体は、羽化のタイミングが早い気がする。
この時期の羽化は約10日かかるが、このこは19日早朝に羽化し27日に羽化に至ったので、9日で羽化したことになる。前回もそうだった。)



彼らを見つめていると、様々なドラマに遭遇する。

***
先日の羽化ラッシュではメスが3頭のオスが1頭だった。
彼らは虫かごからだしても、気が乗るまでは飛ぼうとしない。
元気の良いメスの蝶がいち早く威勢よく飛び立った。
飛び立つ瞬間、私の視線の奥に、立派なオスの姿が。
さらに前、羽化したオスだろう。彼女が飛ぶと同時にそのオスも飛び立ち、
くるくると円を描きながら二頭で大空を舞った。

このこが旅立ったその瞬間、その先に。


この姿、胸に深く、ジーンときてしまった。
それは姫を迎えに来た、白馬の王子のごとく、ロマンチックな光景だった。


***
昨日は午後、外で園芸作業をしていた。
そこに、一頭のツマグロヒョウモンのメスが優美にふわりふわりとやってきた。
そして私のすぐそばにとまった。こちらを向いてなにか挨拶をしてくれている感じだったので、私も心と声で{こんにちわ}と言うと、彼女はまたふわりと飛び立っていった。
もしかしたら…というかおそらく、私が育てたツマグロヒョウモンだったのだろう。
私のことを覚えてくれていたのだろうか。
そうだったら嬉しい。そしてそう、思いたい自分がいる。

こちらはオス。飛翔力は高い。オレンジ色が青空に輝く。

翅は裏も美しい。


***
そして今日、曇り空で少し風の強い午後だった。
外にでると、一頭のオスが舞い降りてきた。
そしてそれを追いかけるようにメスのツマグロヒョウモンがやってきて、
2頭がくるくると円を描きながら、私のそばにやってきた。
目の前で繰り広げられる、その優雅で可憐な輪舞に、思わず眼が釘付けになってしまった。

{ なんて美しいのだろう この風景をいつか描いてみたい }

その後、メスが地上に降り、誘うようにその美しい翅をふわりふわりと動かすと、それに見惚れるかのようにオスが向かい合い、翅を小刻みに動かした。
そしてメスがふわっと舞い上がるとそれを追いかけるようにしてオスが飛ぶ。
そして上空でくるくると、そのロンドは続いた。
お互いが生まれたこと、そして出会ったことへの喜びを、小さな身体いっぱいに表しているようだった。


***
悲しい出来事もある。
外の鉢植えのそばで不可解な死を遂げている仲間が数匹いた。
それは無残な状態だった…。病による死には見えない。残留農薬の影響か。
ビオラは植え付けしてから10カ月も経つと安全になる場合があるが、
そうでないものもあるようだ。
たぶん、浸透持続力の強い農薬を使っていたのではないだろうか。そこまでは私も分からない…。ただこの時期になってもアブラムシが少なく、他のイモムシもつかないような状態の株は、そうである可能性が高いように思う。

その中で安全な無農薬スミレを食べて、無事に蛹になったこもいた。
そのなかの一匹は、ベランダの隅から隅に歩き、スチールラックの上部で蛹になっていた。目視できたのは昨日、とても驚いた。
蛹は環境に合わせて色目が若干変わるようだが、このこは錆びたスチールラックで蛹化したので、蛹の色目も少し錆色になっていた。それがまたアーティスティックで素晴らしかった。

小さな体でえっちらほっちら長い距離を歩き、頑張った集大成。
ここからさらに羽化までが最大の難関で大仕事。


6月上旬くらいに一斉に抜かれたスミレも復活してきている。
今度は余計な雑草が無くなったおかげで日当たりが良くなったようで、成長が早く葉色も良い。
なんともたくましい植物である。
そして春には華奢で可憐な花を魅せてくれる。
愛しきツマグロヒョウモンの食草でもあるこのスミレが、私はとても好きである。



2019/06/20

ツマグロヒョウモン 75 おしりをかじられても…

イモムシ、10匹程度なら心穏やかにお世話ができる。

今、いったい何匹いるのだろうか。
物事、何事も程度というものがある。

ツマグロヒョウモンはすでに20頭が無事に羽化し青空のなかを旅立った。
それは楽しげに、生まれてきた喜びを謳歌するように飛ぶのである。
この姿が見たくて、日夜せっせとスミレを摘んでは、与えるのだが……。

正直って、多頭飼育は難しい。
幼虫はなるべく1ケースに7匹くらいとし、育ちにあわせて分けていた。
なるべく蛹化と羽化のタイミングを合わせるためだ。
それでも事故が起きる…。しかも世話人の責任は大きい。

最も警戒すべきは、ぶらさがった前蛹のこがいよいよ蛹になるため脱ぎ始めるとき、食草が入ってないと、腹を空かした幼虫たちがその柔肌に歯を突き立ててしまうということだ。

一番近所のスミレが「雑草」とされて除去されてしまった今、もはやスミレは貴重となってしまい、家のプランターの安全なビオラやスミレと併用しながら、遠方より摘んできたスミレを頃合いを見計らって(空腹で動き回る頃)、チマチマ与えるしかなかった。

最初の事故がおこってしまったとき、それは朝方で、夜に与えたスミレが足りなかったことが原因だった。
食欲旺盛のおおきな終令幼虫が、まさになったばかりの蛹をかじり、赤い体液がケース側面にスプラッシュしていた!
その姿に睡魔も吹っ飛び、急いで「かじり虫」と蛹を引き離した。
蛹はゆっくり左右に動き、血のような赤い体液が滴ってきたが、そのうち止まりかさぶたのようになった。
もう、蛹の生命力に頼るしかなかった。

そして9日後の6/14、無事に大きなメスの蝶が羽化していた。自責の念にかられていたので救われた気分になった。
多少かじられても大丈夫なようだ。蝶の生命力に驚く他なかった。

しかしおろかなヒト(私)は、あやまちを繰り返す…。

ある日、食べ盛りの幼虫7匹がいるケースへの夜のスミレ配給が少なかった。
一匹前蛹になったこがいたのだが、朝方最後の脱皮の最中に、空腹の幼虫がまたもやその身体をかじってしまったようだった。しかも今回は発見が遅かった……。
苦しみに悶えたように変形してしまったその蛹は、もしかしたらダメかもしれない……。
寝起き姿で愕然としてる最中に、今度は別ケースでおなじ事件が!
それはすぐに引き離せたので、蛹にかさぶたはできてしまったものの、なんとか大丈夫そうだった。

その日のうちに虫かごを追加購入し、1ケースに7-8匹入っていたものは、改めて3-4匹に分けた。
そして今はかなり遠方になってしまったが、暑いなかスミレを摘みにいった。

冒頭の通り、
少数ならば心穏やかに飼育できる。
しかし、理由があるにせよ、50匹以上にもなると、世話人も息切れ激しくなってくる。

現在、終令幼虫はほぼ前蛹+蛹となり、いまではチビが8匹程度なのでゴールがみえてきたが、
今日も卵を産み付けに、母蝶の美しい姿が見えた。

バタフライガーデン=憧れである。
しかし今のプランターの状態は、他者が驚くトゲトゲイモムシガーデンである。。

2019/06/15

シモフリスズメ 1 猫が仕留めた、珍客。

ある日、我が家の猫、わさびの様子が変だった。
昼間、猫のトイレの隙間をじっと見て離れない。
なにが見えているのか?ゴキ〇リか、それとも…??
しばらく微動だにしていなかったが、そのうち飽きてしまい知らぬうちに移動していた。

その日の夜、けたたましい羽音とともにわさびの機敏な動きが見えた。
この音!やはりゴキ?そして飛んでいる??
背中にヒヤッとしたものが流れた。ゴキは大の苦手である。

正体は違った。それは大きな蛾であった。飛び方を見る限りスズメガだろう。
わさびはパンパンと手を出して器用に蛾を仕留めると口ではぐはぐと噛む。
すると蛾は必死に飛ぼうとするのでブーンとものすごい音がする。
誤食しては双方に悪いとわさびをなんとか抑えると、蛾が陰に隠れた。
見ると三角形の黒い蛾である。その大きさに思わずギョッとしてしまった。
おとなしくじっとしていたが、何度か噛まれ爪をたてられてしまったので心配だった。
そっと虫かごに入れて、そのまま外に置いておいた。
しばらくして様子が気になり見に行くと、その蛾は近くの紫陽花の鉢植えに移っていた。
真っ黒というわけではなく、グレーの地味な感じのスズメガだった。名は解らなかった。
お腹のあたりから何かが出ていた。それは緑色の卵。このこはメスだった。
猫に腹を割かれてしまったのだろうか、かわいそうに、紫陽花の葉に一生懸命産み付けようとしていたがうまくいかない。おそらく食草は紫陽花でないと思うが、瀕死のためやむを得ずという感じだろう。
これもうち猫の仕業…。ごめんよと声をかけ、そっとしておくしかなかった。

翌朝、蛾の姿は消え、卵が残されていた。
すべてとはいかないが、そのうちの2匹を飼育することにした。
さて、そこで困ったのは本来の食草がわからないことだった。
一緒に目撃していた家人にも特徴を聞きながら、親の姿を調べた。
シモフリスズメという蛾が一番近い印象だった。
この蛾の食草はシソ、シマネトリコ?そしてオリーブ!
オリーブなら近くに母の植木がある。おそらくそこに産卵しにきたのだろう。
調べは当たって、ほどなくして孵化した幼虫もオリーブの葉を食べた。
2匹のうち1匹はすぐに亡くなってしまったが、もう一匹は現在まで順調に育っている。

さてこの幼虫、挙動がちょっと不思議、というかよくわからないことが多い。
何回目かの脱皮をした後、葉っぱにしがみついたまま微動だにしなくなってしまったことがあった。その間=2日。後ろ脚は葉にくっついたまま、体が9の字になってしまっていた時はとうとう☆になってしまったかと不安になったのだが、次の日にはむっくり起き上がり、なにもなかったように葉をパクパク食していた。

ちょっとでも触ると頭をぶんぶんふって威嚇してくる。
逆V模様の入った不思議な顔で葉を抱き眠る様子は、小さいオジサンか緑の小人のようでもある…。ウンチは手りゅう弾にそっくりである。

「猫のおわび」で育てているこの幼虫、総評して、なかなかかわいい。
終齢時には人差し指一本分の大きさになるのだとか。
どれだけオリーブを食べるのだろうか。





2019/06/11

ツマグロヒョウモン 74 心臓に悪い…

ツマグロヒョウモンにすっかり認知された、我が超極小ベランダガーデン。
5月には母蝶が毎日のように訪れ、時には友達連れでやってきて、次々と卵を産み付けていった。
無農薬で育てたスミレやビオラもあるが、アブラムシ避けに少し農薬をつかっているものもあったため、そういう苗に植え付けられた卵はできるだけピックアップした。


そして現在・・・
あらためて幼虫の数を数えてみたら、すでに蛹になったものもいれて60匹はいるだろうか。
今年は大盛況である・・・。


家のスミレは保険的にとっておきたいため、食用のスミレは近くの川沿いで調達した。
長い道をスミレがフサフサと茂っていたので、すっかりそれに安堵していたのもつかのま・・・

今日、嫌な予感がして川沿いを確かめに行ってみると、
スミレがすべて、抜かれてしまっているではないか!
例の「お掃除」がはいってしまったようで、この時期の予期せぬ事態に思わず頭が真っ白に。。。
だんだんと気持ちも悪くなる始末・・・。

頭の中でぐるぐる回る。
{ 今、蛹になったこは10匹くらいで、もうすぐなるこも〇匹だから、
たべざかりのこは〇〇匹、養育するにはどうするか~(←焦るあまり詳しい数字が浮かばない) }

11月頃に植えたビオラは切り戻しのおかげでわんさと茂っている。
この鉢で終齢間際まで育っていた子がいたので、たぶん初期の農薬も抜けているだろう。
この大きなビオラは救世主になるかもしれない。
アブラムシにたかられることなく健康的に存在しているビオラもまだまだある。
スミレは10鉢くらいあるが、葉数が少なくちょっと心もとない。

ああ、こんなことになってしまうとは…と深く傷つきつつ、
家のビオラやスミレを総動員し、別の場所のスミレも日々確認して、
なんとかせねばと、
心中まったく穏やかではない。


さて、最初に蛹になったこの羽化予定が6月14日と迫っている。


2019/05/31

6/19~6/23「大細密展2019」に参加します。


**展示会のお知らせ**
6月19日(水)~6月23日(日)11:00~20:00 ※最終日17:00まで
The Artcomplex Center of Tokyoにて開催される「大細密展2019」に参加いたします。

様々な細密画がご覧いただけるとても見ごたえのある展示会となっております。
私も作品を何点か展示させていただきます。画集・ポストカード販売もいたします。
お時間がありましたら、ぜひ見にいらしてください!

詳細はこちら ➡ 大細密展2019

2019/05/23

ツマグロヒョウモン 73 母ツマはなぜ枯葉に卵を産む?

季節も初夏の様相となり、晴れて穏やかな日は蝶たちが忙しく飛び交っている。
ずば抜けて飛翔力の高いアオスジアゲハは、クスノキの上の方でひゅんひゅんと飛び、アゲハチョウは柑橘系の木を求めて、あっちへいったり、こっちにきたり。
小さな小さなシジミチョウも、開けば美しいその翅をパタパタと動かしながら頑張っている。
蝶好きにとっては嬉しいシーズンだ。

そしてある晴れた日、愛しきツマグロヒョウモンのお嬢様が、ふらりと我がベランダにやってきた。
風が少々そよぐ程度の穏やかな日、美しい翅を広げて優雅に滑空してみては、旋回してビオラの鉢植えに戻ってみたりと、なんとも楽しげである。
なんといっても、彼女の一大仕事は卵を産み付けること。
私の存在を気にすることもなく、あちらこちらを確かめては、彼らの食草に産み付けていく。しかしそれがなんだかおかしい。
彼女はおもむろに鉢の奥の方に潜っていくと、おしりをくっつけているのだが、それがほぼ枯れた葉っぱなのだ。
ひどいときは床に降りて、そこらへんに転がっている枯葉に産み付けている!
これはレスキューせねばと、時間が許す限り彼女の動向を見ていた。

メスのツマさんは我が鉢植えだらけのベランダを気に入ってくれたらしく、ふわりふわりと飛びながら長く滞在してくれた。ツマグロヒョウモンのために育てているスミレの鉢もそこかしこにあったのだが、それには目もくれず、なぜかビオラの枯葉に産み付けていく…。
あとで枯葉を確認し、卵を採取。みつけたのは全部で8個。このこたちを養育すると決めた。かろうじて、スミレの新芽に産み付けられたものもあったので、それはそのままにしておいた。

アゲハは必ず、レモンやキンカンの新芽に産み付けていく。一枚一枚脚で確かめ、それはそれは大事そうに…。
しかし、ツマグロヒョウモンはなんてきまぐれなんだろう。
やってきた母ツマは枯葉以外に、食草でない葉っぱにも産み付けていた。
食草付近の土にも産み付けていくことがあるので、孵化した子供たちがかなりタフということなのか…。
ともあれ、またツマグロヒョウモンたちと過ごせる夏がやってきた。

5日ほどして卵7個が孵化した。黒いトゲトゲ幼虫も最初はふわふわとした産毛の赤ちゃんである。

孵化したて。産毛がふわふわ。

孵化してから何回かの脱皮後。ようやくトゲトゲとしてくる。

***************

晴れた日は毎日のようにツマグロヒョウモンがやってくる。どこかから噂を聞きつけてくるのだろうか?あそこはご飯もあるし、育児施設もあるそうよ・と。。

目の前で卵を産み付ける母蝶。

二頭の美しい蝶がベランダを舞っている光景には、なんだか胸にこみあげてくるものがあった。
スミレやビオラなど花を育てて約1年半、待ちに待っていた光景だった。
そして母ツマたちは私がいても構わずあちこちに産卵する。目の前で産み付けていく時もあった。人なつっこい蝶である。
もう寿命が来ていて枯れるばかりのビオラに産み付けられたものなど、回収した方がよい卵は回収し、無農薬のスミレや若いビオラに産み付けられたものは様子を見ることにした。


そして今日、キンカンの鉢植えの根元で一頭のツマグロヒョウモンが亡くなっているのを発見した。翅がきれいなまだ若そうな蝶だったが、お腹はぺたんこだった。根元にはスミレがこぼれ種で育っていた。仕事を終えて、天寿を全うしたのだろう。
身体をそっと持つと、空気のようにふわっと軽かった。
お疲れさまと声をかけた。








2019/04/06

アゲハとキアゲハ 40 二頭の旅立ち

5日は午前中、穏やかに暖かく晴れていた。
私は昨日羽化した越冬アゲハとキアゲハを旅立たせることにした。


ネットに入れたまま、外に出そうとするが、バタバタとしてしまってなかなか出ない。
そのうち、キアゲハがひょいっと顔を出し、矢のように飛び立っていった。
次の瞬間にはもう空高く舞っていた。7カ月眠っていたとは思えぬほどに、力強い飛翔だった。

{ キーちゃんの分まで生きるんだよ }

54日を共にしたキーちゃん。



一方、アゲハはまだネットの中にいた。そっと指を差し出すと乗っかってきたので、
そのまま近くのラベンダーの花に止まらせた。
翅をふわっと広げたまま、動かない。小さな顔の頭の産毛が初々しく妙にかわいらしかった。
近くにいた母を呼び寄せ、二人でしばらく見守った。
越冬した蛹から昨日羽化したことを伝えると「小さい生き物はたくましいね」と言った。





そのうち身体が温まったのか、ふわりふわりと翅を動かし、ビオラの花の上に止まった。
お腹が空いていたのだろう。口吻を出し、小さなビオラの花の蜜を吸った。
だいぶ長い時間、一心不乱に吸っていた。そして満足したのか口吻をくるっとまとめると、またふわっと飛んでみせた。


アゲハは飛んでは戻り、またくるっと回ってみてはまた戻り、なにかなごりおしいのか、最後の挨拶をしてくれているのか、何度か行きつ戻りつして、そのうち遠くへ消えていった。
最後は私のそばまでやってきて、くるりと回ってくれたのだった。
こういうとき、旅立ちを喜ぶべきなのに、たまらなく切なくなる。
別れは、いつもいつも、胸が苦しくなる。

「元気でね 頑張るんだよ」 とアゲハに声をかけ、

{ どうか無事で どうか蝶の幸せを全うしてね
そして いつでも戻っておいで }

心の中で伝えた。

今は桜の花が満開だ。そして今後も暖かい日が続くという。
アゲハたちも桜の花の香りを嗅ぎ、蜜を吸うことができていたら嬉しい。




これで昨年から続いていたアゲハとキアゲハの飼育日記はいったん終わる。
今年はいつ、戻ってきてくれるだろうか。彼らの子孫たちが。
準備万端にして待っていよう。


2019/04/04

アゲハとキアゲハ 39 越冬蛹が羽化!

桜も満開となり、明日の強い風で路上は花びらのじゅうたんとなるのだろうか。
昼間は暖かいが夜はまだまだ冷える。

4月4日の午前中、普段消している納戸の明かりをつけっぱなしにしてしまった。
そのすきに、アゲハとキアゲハが羽化していた。
部屋では暖房の影響があるので、冬の間、気温が低く暗い納戸にケースを2個しまっておいた。
春にはなったがまだ納戸は冷えるので、まさかの羽化だった…。
そしてこの時、光も多いに羽化と関係しているのだと改めて学んだ。
冬の間よりは納戸の室温も上昇し、そこに2~3時間ほど光が灯ったことで、彼らは春と認識したのだろう。
ケースにぶらりんと下がる2個の蝶…見慣れた風景がそこにあった。

アゲハのメス。
キアゲハのオス。


キアゲハはオスだった。昨年(2018年)の9月に蛹化したこで、その蛹は黒い部分が多く、サイズも小さかった。
そしてアゲハはメスだった。こちらも昨年の10月に蛹化し、サイズは小さくちょっと赤みがかった色をしてした。
どちらも他の仲間と少し様子が違っていて、心配な蛹だった。
晩秋の最中、なんとなく急いで蛹になったような感じがした。

{上手に越冬できるだろうか
 もう死んでしまっているのではないだろうか
 いやいや、色は多少変わっていても、死んでいる蛹のそれとは違う}

桜が満開となるこの時期の羽化なら外に出せる。気温も冬のような寒さはやってこないようだ。
明日は風が強いようだから、明後日、晴れたら出してあげようか。
二頭の美しい蝶は同じネットに入れて、布をかぶせ早々に休んでもらっている。

それにしても約7カ月という長い長い眠りから、無事に覚め、美しい蝶になるというのは、生命の神秘の極みのようだ。それに立ち会えて、今でも私の胸は熱い。

並んでみると二頭の蝶はどちらも同じくらいの大きさ。


…ふと考えた。
人にも「蛹」の期間があるのではないか。それは人生で1度かもしれないし、繰り返すかもしれない。
経験しない人もいるかもしれない。
無性に殻に閉じこもりたくなるとき、その「蛹」の中がとても居心地よくてなかなか出れないとき、その期間が長いほどに責められるのかもしれない。また不安や恐怖でいっぱいになってしまうかもしれない。
しかし、案外長い人生、そんな期間があっても良いのではないかと思う。
蝶の幼虫だって、あの小さな蛹の中でものすごい変容を遂げているのだ。そしてそれは生死をかけた戦いであり、静けさの中で着実に進む。
蝶に学び、「蛹」の期間=変容の時期と考えれば、新たな自分へ近づく必要な一歩なのだと勇気づけられはしないだろうか。


蝶…その生命力と美しさにはいつも驚かされ、深く魅了される。
本当に地上の宝石のような生命である。

そして素朴に思う。長い眠りの中、蛹の中で蝶たちはいったい、どんな夢を見ていたのだろう。


キアゲハ蛹の大きさ比較。左が今回羽化した越冬蛹。
右は兄弟。色も違うし一回り違います。




2019/03/08

アゲハとキアゲハ 38 キーちゃんの旅立ち

3月6日 曇り空。

その日もキーちゃんは自発的に蜜を吸った。キーちゃんは蜜を吸うとき、口吻を脚でおさえながら吸うことがあった。
器用に両脚で顔を洗う姿がかわいいと思った。
今日で54日目、二か月くらい一緒にいられるかもと思っていた。

蜜を吸うキーちゃん。
ネットの側面につかまって運動するため、
翅はほとんど傷んでいませんでした。

夕方、キーちゃんを見ると、ネットにくっついたまま、前脚だけが胸のあたりに引き寄せられていた。
翅は広がったままだ。アゲハ蝶はリラックスしているとき翅を広げたままにしていることが多いようだが、もう日が暮れて暗い部屋の中で、その様子は妙だった。
触ってみると、ネットからはらりと落ちてしまった。
キーちゃんは亡くなっていた。

蜜の濃度は大丈夫だった。3日に羽化したツマグロヒョウモンのたまちゃんも同じ蜜を吸って元気にしていたからだ。

確かに日を追うごとに動きが鈍くなったり、蜜を吸う時間が短くなってきたことは感じていたが、まさか逝ってしまうなんて…。


蝶はいつも静かに旅立つ。
魂がすっと抜け出ていくように。


身体が魂のいれものだとしたら、蝶ほど、その魂が去った後も美しいものはないのではないかと思う。
それほど、キーちゃんは美しかった。

手にとると、それは空気のように軽かった。
儚く切ない重さだった。


54日を共に過ごした。蝶のいる日々はやはり特別な日々だ。
羽化させてしまったのは私が未熟だったせいだ。やはり大空を飛び、子孫を残したかったのではないだろうかと思うと、胸が苦しくなる。

{キーちゃん、ありがとう。
あなたと過ごせて、アゲハやキアゲハのことがもっとよくわかったようです。
お疲れさま、そしてまた、戻っておいで。}

小さくて丸い顔、大きな黒い目が本当にかわいらしかった。


春も近づき、パセリも徐々に成長しだしてきた。
また彼らの子孫を育てよう。そして大空の煌めく宝石となってもらおう。




2019/02/18

アゲハとキアゲハ 27 羽化して38日に

寒さも底を過ぎ、これからは春に一層近づくようだ。

キーちゃんは羽化して38日経った。アゲハの飼育ブログなどで1カ月以上生きたというのを読んだこともあるが、これからどれくらい一緒にいられるだろう。ツマグロヒョウモンのミコちゃんたちのように長生きしてくれたら…。



アゲハは翅が立派なのだが、傷み具合がツマグロヒョウモンと比べて少ない気がしている。メスだからゆったり飛ぶということもあるだろうが、ツマグロヒョウモンは1カ月も経つと上翅の先がほとんどかけてしまっていたが、キーちゃんの翅はとてもきれいだ。

寒い日はほとんど動かず、ごはんも1回。今日のような温かく日ざしのある日は時々運動をするので、ごはんは2回。
そのごはん=蜜も今では自発的に吸ってくれる。アゲハも慣れてくるとツマグロヒョウモンのように、自発的に口吻を出すようになるのだろうか。

目に花粉がつくと、前脚でそれをぬぐっている姿がとてもかわいい。
前脚に指を近づけると躊躇なく登ってきてくれる。
毎日一緒に過ごし彼女を見ていると情が重なり、いつか来る別れを考えると辛くなる。
彼らの一生はとても短い。
そして人の一生も、見る立ち位置を変えれば彼らとなんら変わらないだろう。

どちらが長いとか優れているという話は実際空しいもので、例えば蝶のように人が自力で大空が飛べるかといえばそうではないし、蝶の見えている世界を見ることもできない。
彼らは遺伝子のレベルで、産まれてから蝶になるまでの必要な情報をすべて受け続くという。だから幼虫はたった一匹で、皆一様に脱皮を重ねて蛹になり、蝶になれるのだ。
一方で人間は産まれてから親の保護を受けなければ生きてゆけないし、その期間がやたらと長い。
しかし知能が優れ複雑な感情を持っている。それ故に環境破壊や戦争など自然界とは逸脱した行動を起してしまう。

私はどちらが優れどちらが劣っているかではなく、動物も虫も人間も、住む世界そのものが違うと思っている。むしろこの地上では人が一番の害悪だと思っているのだが、猫や虫たち…彼らが人間側に歩み寄ってくれていると常日頃感じている。



2019/02/07

2月26日~3月3日「細密展14」に参加します。

 アートコンプレックスセンター 細密展14

**展示会のお知らせ**
2月26日(火)~3月3日(日)11:00~20:00 ※最終日17:00まで
The Artcomplex Center of Tokyo 2F にて開催される「細密展14」に参加いたします。

様々な細密画がご覧いただけるとても見ごたえのある展示会となっております。
私も作品を何点か展示させていただきます。画集・ポストカード販売もいたします。
お時間がありましたら、ぜひ見にいらしてください!


・・・・詳細・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

細密展14 
◆開催期間 2019年2月26日(火)-3月3日(日)
◆開催時間 11:00-20:00 最終日のみ17:00まで
◆パーティ 2019年3月2日(土) 17:00-19:30
◆展覧会場 The Artcomplex Center of Tokyo 2F ACT5

■出展者
Nyan Twitter: @k2007723
Kyon  http://psychout.sakura.ne.jp
宇野たまみ  https://www.instagram.com/tamami_midnightdrawing
指宿  https://twitter.com/ibsukionsen
chis
woga  https://www.instagram.com/?hl=ja
高橋 未歩
妬血  https://mobile.twitter.com/toketu09
溝井 悠紀
イシイヨシト  https://www.behance.net/YoshitoIshii
Yoshimi kawae
まやいけナングァズー
森田悠介  http://salone129.com/
     ・Twitter:@morita129
西田版画室  twitterアカウント→835ijc



3月4日追記*****

グループ展、無事に終了いたしました。今回も様々な学びを得ました。
ご来場下さった皆様、作品をご覧頂いた皆様、どうもありがとうございました。

Kyon

2019/02/06

アゲハとキアゲハ 36 キーちゃんの運動

小春日和が打って変わって、昨日は曇り、そして今日は一日中雨。
室内の温度もなかなか上がらない。15度、湿度は50%。

キーちゃんはもう自発的にハチミツ水を吸うようになってくれていた。
前脚にハチミツ水ティッシュをあてると、しばらくしてひゅるひゅると口吻を出し蜜を吸う。

今日は11時ごろ蜜を与えたが、3分くらい吸ってやめてしまった。その後、ネットの側面に移動し、翅をせわしく動かし始めた。その間5~8分くらいだろうか、羽音がきこえるくらい、かなり激しく動かしていた。

運動していたのでお腹が空いただろうと、お昼にもう一度蜜を与えると、今度は見向きもせず、ハチミツ水を含んだティッシュ棒につかまりながら、再び翅を激しく動かし始めた。
室温が低いために体を温めようとしているのだろうか?真意はわからないが、とにかく翅を動かしていた。今度は10分くらい動かしていたと思う。
もう一生懸命という感じ。筋トレをしているようなその姿がなんとなく愛らしい。
なかなか食事に集中しないので、今日はあきらめて、また明日朝一で食事とした。
明日はまた春のように暖かいようだ。

2019/02/01

アゲハとキアゲハ 35 キーちゃん自発的に蜜を吸う!

2月1日、昨日はひさびさの雨。雪にはならず。
気温も低くずっと曇っていたので、キーちゃんもほとんど動かなかった。
キーちゃんは羽化して21日となった。まだまだ元気だ。



キーちゃんはここのところ、四日間あまり自発的にハチミツ水を吸ってくれた!
キーちゃんの前脚にハチミツ水を含んだティッシュをあてると、最初はパタパタと忙しく脚を動かしているが、そのうちに口吻をひゅるひゅるとだし、吸い始める。吸うのはだいたい五分くらい。

ここでのこつは、やはりハチミツ水の味だろうか。薄めで甘め。濃いハチミツ水は絶対NGだけど、薄すぎると反応が鈍いようで、この味付けに毎回苦労する。

今日は朝食はほんの1分程度で終えてしまったので、お腹がすいてなかったのだろう。
日を浴びて、ちょっと運動した午後に再び食事にすると、今度も自発的に吸ってくれて、その間八分。

食事の際に翅をさわらずにすむのは双方にとって楽だし、吸わないからといって無理強いもよくないので(単純にお腹がすいてないだけかも)、今後もできるだけ、キーちゃんが自発的にハチミツ水を吸うことに期待しよう。

2019/01/28

アゲハとキアゲハ 34 一喜一憂。

1月28日、今日は午前中曇っていたが、午後にキラキラと輝く日の光。
南風がけっこう激しく吹いている。

キーちゃんは羽化して17日目となった。
昨日は朝と昼、食事をした。キーちゃんのストレスを考えて、基本1日1回としているのだけど、昼にネットに入れたミニ鉢植えのベコニアの赤い花に口吻を刺していたので、お腹が空いたのかと思い、食事をあげたのだった。(この鉢植えは自家製無農薬なので安全なのだけど、残念ながら蜜は吸えなかったようだ)

餌やりの時、なるべく翅の付け根を軽く持つようにしているのだが、それでも鱗粉が指についてしまい、だんだんと翅が透けてきてしまった。
ごめんね、キーちゃん。。

朝はスムーズに食事をしてくれるようになった。
食後、日の光で体を温めながら、翅を動かし軽く運動。
結構動いていたので、お腹が空いているかなと、お昼にもう一度ハチミツ水をあげてみたが、それは要らないようだった。
ネットの上側で再び休もうとすると、ぽとっと落ちてしまった…。
二度目の食事で、疲れてしまったのかな…、とちょっと反省した。

大食漢のツマグロヒョウモン(成虫)も蜜を吸わない時はあった。
無理強いはしない方がいいし、アゲハの場合、食事介助に翅を持たなければならないので、朝ご飯を食べてくれたなら、体力消耗させないためにも、今の時期は気温が低く動きも鈍いし、食事は1日1回にしておこうと思う。

蝶と暮らすと、一日一日がさらに大切に、大事に、特別に思えてくる。
それは今も昔も変わらない真実。小さな彼らの大きな力だ。


キーちゃん、大切にするから、少しでも長く一緒にいようね。


2019/01/25

アゲハとキアゲハ 33 羽化して2週間目

1月25日、今日は久々に曇りで寒い。
キーちゃんは羽化して14日経った。まだまだ元気だ。
朝に食事をした。初めてハチミツ水を自発的に飲んでくれた。
毎回これならお互いにとても楽なのだが…。

その後、窓際に吊るしたネットのなかでじっとしていた。
あまり日が入らないのでこのまま休むのかと思いきや、思い出したようにわさわさと動き出し、ネットのなかにあるビオラに口吻をあて始めた。
お腹が空いたのかと、急いでハチミツ水を作りあげてみたが、
そちらには見向きもせず、バタバタと動き回って忙しない。
そのうちネットの側面で激しく翅を動かし始めたので、そのまま様子を見ていた。
5分くらいだろうか、再び静止したので、さらに時間を置き、
今度は介助付きのご飯となった。
もう口吻をつけると素直に飲むようになった。4分くらい吸っていた。

後ろ翅が少し傷んできてしまった。
前翅はまだまだ奇麗だが、なにせ大型の蝶なので、そのうち欠けてきたり切れたりするのはやむを得ないだろう。
しかしこのこはメスなので、オスと比べてゆったりと飛ぶ。痛みのスピードは低いのではないかと思う。
記憶の中では、抜群の飛翔力ですばやく飛ぶツマグロヒョウモンのオスは、
ネットの中でも激しく飛ぶため、翅の痛みが著しかった。


2019/01/23

アゲハとキアゲハ 32 羽化して12日目

1月23日、今日も日差しが暖かい1日。

キーちゃんは昨日今日とハチミツ水を吸った。
今日は7分くらい吸っていた。

私も翅の付け根の固い部分を持つことに慣れてきたし、キーちゃんも蜜の味に慣れてきたのだろう。
しかし毎度、食事の介助は緊張する…。
ツマグロヒョウモンのように自発的に吸ってくれたらなぁ………。

こつはキーちゃんの動きがまだ鈍いうちにすること。そして、蜜は「薄めで甘め」ということ。蜜は納得するまで何回も作り直す。

キーちゃんは蜜を吸いながら、口吻を手でしごくようなしぐさをした。それがまた可愛かった。

我が家は気温15℃前後と低めなので、特になにもしなければ蝶はじっとしていることが多い。特にアゲハは低温が得意ではないなようだ。

いつものように午後30分くらい日光浴し、パタパタと運動をしてもらった。
そして、そのまま部屋を薄暗くすると、ネットの天井で休みに入った。

2019/01/21

アゲハとキアゲハ 31 キーちゃん羽化から10日目

1月21日、連日の快晴、空気が乾燥している。

キーちゃんは今日も午前中に食事をした。
キアゲハを初めてお世話し初め、気づいた点がいくつかある。ご飯はネットのなかであげている。

1:翅を持つときに、付け根の固い部分を持つと翅が傷みにくい。それでも翅をさわるので、リンプンが取れ半透明になっていくので、翅を破らないよう細心の注意が必要。

2:ハチミツ水は薄めで甘め。ツマグロヒョウモンのときと比べるとだいぶ甘い。
甘めの方がよく吸うようだ。しかし、決して濃い蜜をあげてはいけない。味見してほんのり甘さを感じる程度だ。

食事は1日1回できれば良しとして、そのあとは日光浴などさせて、のんびり過ごしてもらっている。
そして、午後3時には布を被せてネットを暗くし休んでもらう。

蝶のいるネットが吊り下がってる自分の部屋は、間接照明だけで薄暗くしている。これはツマグロヒョウモンと過ごしていたときといっしょ。もう慣れっこだ。

2019/01/20

アゲハとキアゲハ 30

今日も暖かい1日。

寝起きのキーちゃんに蜜を上げると、自発的には吸わなかったが、介助したら吸ってくれた。

五分以上吸ってただろうか、たっぷりと飲んでくれたようで、朝からひとまず安心…。

2019/01/19

アゲハとキアゲハ 29 吸ったり吸わなかったり

1月19日、今日はとても暖かい。

キーちゃん、昨日は午後に食事をした。
翅をそっとつかんで楊枝で口吻を伸ばし、ハチミツ水ティッシュにあてると、その後5分くらい吸っていた。

今日は午前中出かける用事があったので、キーちゃんは14℃くらいの涼しい部屋に暗くして休んでもらった。

午後に食事を与えてみたが吸わなかった。
翅の傷みも気になるし、無理強いしてもいけないと思い、今日はあきらめた。
昨日の夕方からほぼ動いていないし、おなかがすいてないのかもしれない。
排泄はしていた。
少し日光浴をし、運動してもらった。

考えれば外の環境でも、蝶が毎日食事をしているとは限らない。曇りや雨の日は木陰でじっとしているのである。

これまで見てきて、アゲハは吸いたいときに蜜を吸うようだ。
最低限1日2回食事を与えてみて、後はキーちゃんの機嫌と、おなかのすき具合に任せてみよう。

2019/01/17

アゲハとキアゲハ 28 キーちゃん食事する!!

1月17日、おだやかな晴れで太陽のぬくもりを感じる。
朝8時半頃、寝ぼけ眼のキーちゃんを、まずはハチミツ水棒で誘導し、ハチミツ水をティッシュに浸したお皿にのせて、翅に触ることなく楊枝で口吻を伸ばし、ティッシュにつけたら、やっと蜜を吸ってくれた!!
毎日心配いたのでほっとした。。
その間、五分以上。
吸いながらねてしまったのかと思うほど長いので、つかまっている棒をちょっと
動かすと、思い出したように動き出した。
だいぶおなかいっぱいになったのではないだろうか。
しばらく涼しいところで休んでもらったあと、少し日光浴をすると勢いよく翅を動かした。
さて、ネット情報では、食事は1日1~2回とか。
極力、翅には触りたくないし、あまりストレスもかけたくないので、1日1回のご飯で様子をみようかな、と思う…。

2019/01/16

アゲハとキアゲハ 27 キーちゃんが食事しない…

1月16日、晴れて暖かい1日。
困ったことにキーちゃんが食事しない…。
昨日は日光浴後翅もよく動かし、静かになった頃にハチミツ水を与えてみたが、ダメだった。朝夕と何回かトライしたが飲まなかった。その都度翅をさわるので心苦しい。
今日もまず朝方与えてみたが、口吻をつけると少し探るものの、吸わない。
そして、日光浴後、二回トライしたが、やはりバタバタとしてしまいダメだった。
排泄は昨日今日としていた。
狙い目としては、朝の寝起きか、午後休んでいるとき。
あの美しい翅をさわる度、リンプンが剥げてしまうのが辛いが、細心の注意を払い、根気よく接していこう。

気休めですが、、花をたくさん入れてみました。
甘いビオラの香りがします。

2019/01/14

アゲハとキアゲハ 26 キーちゃんの食事

1月14日、乾燥した晴れが続く。
特大ネットに移したキアゲハのキーちゃんは、温度が低いせいか、あまり動かない。
午前中、窓辺にネットをつるし、日にあてるとゆっくりネットの中を歩き回った。
午前中の食事はダメだった。

食事の前は少し羽ばたかせると良いというのを何かで読んていたので、身体が温まり、少し羽ばたき出したチーちゃんに、しばらくして食事を与えてみた。そして、前回よりもほんの少し甘めの蜜を作った。

やはり自分では吸おうとしないので手助けしてみると、今回やっと食事をとってくれた。
一分も満たない間だったけど、蜜に押し付けた口吻をクックと動かしていたので、食事をとったのだと思う。
ひとまず安心した。
ただ食事の手助けにはどうしてもあの繊細な翅をさわらなければならない。
様子はみなければならないが、キーちゃんへのストレスも懸念して、食事は1日1回にしたいと思う。

2019/01/13

アゲハとキアゲハ 25 キアゲハの羽化!!!

1月12日、東京で初雪が観測された、とても寒い日。
部屋のすみ、暗い場所に置いておいた虫かごに異変が…。
何か動く陰が見えると思ったら、キアゲハが羽化していた❗

いつみても宝石のように美しいキアゲハ。
こちらはメスです。
すでに旅だっていった仲間の空の蛹に囲まれて。


あまり暖房を付けないため、普段部屋は18度前後だった。それでも快適に過ごしていたのだが、ここ最近寒さが増し数時間エアコンをつけていた。
恐らくそれが原因だろう…。
昨年8月下旬に蛹になり、羽化しなかったこは三匹。そのうち10月に突然羽化したこは、まだ暖かかったので外に出せた。
その時のことをよく覚えている。
飛び立った蝶は向かいの家の日の当たらない場所に飛んでいってしまい、なかなか体温が上がらずにそれ以上飛べないでいた。
キアゲハは夏の蝶だ。晴れているとはいえ、やはり10月の気温ではダメだったか…このまま動けずにいたらどうしよう……。向かいの家に行きたいが面識もないし………。
不安ばかりが募り、ベランダに出ては蝶の様子を見て憂うの繰り返し。
しかし数時間後、蝶はいつの間にか旅立っており、ほっとしたのだった。
それが昨年最後のキアゲハの羽化だった。
残った蛹は二匹。そのうち大きめの一匹が、昨日約五ヶ月の眠りから覚めてしまったのだった。
(覚めてしまった…と書いて今思いだすのは「パッセンジャー」というSF映画だ。これがなかなかの作品だった)
キアゲハへの懺悔の気持ちと、さあどうするという不安の気持ちが交差する。
不安とは、自発的に食事するツマグロヒョウモンとちがい、アゲハの食事はちょっと難しいということ。
前足に蜜をつけて吸えばいいが、なかなかそうはいかないという。その場合、蝶をそっと掴み、口吻を楊子か何かで伸ばして吸わせるだという。
アゲハが簡単に蜜を吸わないというのは経験上知っていたし、今回もトライしたが前足に蜜をつけても口吻は出さなかったので、意を決して蝶の翅をそっと掴み、口吻を楊枝でのばして試みたが、二回ともダメだった。
室温は19℃位なので動きは鈍く捕まえるのに難はないが、まだ警戒してるのだろう。
明日またトライしてみよう。
私が羽化させてまったことにはかわりない……。
責任をもって、最優先で、蝶をお世話をしよう。

美しいそのキアゲハは、メスだった。
キアゲハ今年の羽化1号という事で、名はキーちゃんとつけた。
しかしいつみても、蛹から蝶に変わる姿は驚くばかりだ。
しかも約4ヶ月の眠りから覚めるというのもすごい!
蛹について、実は死んでしまってるのではと諦めの気持ちがあった。
そのなかでの羽化だった。
(本来の越冬組は9ヶ月くらい眠っている)
人には冬眠もこの美しさも、真似できない。