Kyon {Silence Of Monochrome}

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2017/12/15

ツマグロヒョウモン ~3頭のツマさんたち(羽化不全と保護したこ)10~ スミレが消えた…

12月15日
曇っており、とにかく寒い。部屋の温度も15℃前後。

ツマジロウさんは15日目、ツマサブロウさんとよっちゃんは産まれて14日目となった。

朝、ツマたちにごはんをあげた。
寒いので動きは鈍い。寝ぼけ眼のなか、3頭ははちみつ水を飲んでくれた。
ツマジロウさんは側面に貼りついたまま、動かすのもかわいそうなので、そのまま飲んでもらった。
ツマサブロウさんは翅がちょっとおかしくなってしまっていたが、綿棒を近づけるとすぐに乗り移り、翅をゆらゆら動かしてご機嫌そうに飲んでいた。
よっちゃんもゆっくり丁寧に飲んでいた。あまりにながいので、よっちゃんがつかまっている綿棒をそっと小皿に移し、そのまま飲んでもらった。だいぶ長い時間吸っていたようだ。満足すると、口吻をまとめ、場所を移動する。

今日は日が照らないため、このまま、お風呂場で休んでもらうこととした。


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今日は、とてもショックなことがあった。

午前中、出かけるために久々に川沿いを歩くと、なんとスミレが一本も無いのだ。
道路の補正工事があるとは聞いていて、嫌な予感がしていたが、補正するのは車が走る方で、歩道側にあるスミレは邪魔ではないだろうと思っており、
まさか!という感じだった。
思わず「どういうこと?」と声を出してしまった。

歩いても歩いてもスミレがない。スミレどころか、すべての草が抜かれている・・・。
落ち葉もない。なんてことだ。
まだわずかに茂っているスミレをたよりに、落ち葉の中で越冬幼虫が眠っているはずだった。
その子たちもきっと一掃されてしまった・・・。

悲しくて、泣きたくなった。
しかしこらえながら、川沿いを歩き、まだ幼虫がいないか、探した。
けれども姿はなかった。

{ニンゲンは残酷だ。

ニンゲンなんてそこらへんにうじゃうじゃいるのに、町で見る蝶たちは、
いつも、ほんの数頭ではないか。
それなのに、ニンゲンの都合で、かれらのわずかな食草まで奪って、
なんて身勝手なんだ。なんて残酷なんだ。
もうこの町で、あの美しいオレンジ色の蝶が見れないかもしれない・・・}

自然にまかせようと、川沿いで見かけた小さな幼虫たちはそのままにしていた。
だけど、ヒトの深くかかわる場所で「自然に任せる」という言葉は無意味だと思った。
おそらく、大体のヒトは彼らを知ることもなく、無関心で守ろうとなんて考えもしないだろう。
今回だって、仕事に従事している人々はただ指示された事(=草取り)を淡々とこなしているだけなのだから、悪気とかそういうものもないだろう。

だけどツマグロヒョウモンは、人知れずこの場所で、確かに命をつなぎ生きてきた。
スミレがたくさん茂る、この道で・・・。
そして、来年の春にはまた大空を颯爽と羽ばたくツマグロヒョウモンの姿が、
次世代を残すはずあろう命があったはずだ。

それが、無残にゴミとして捨てられてしまった・・・。


ああ、あの時、見かけた幼虫たちを、躊躇なく、保護できていたら・・・。
「自然に任せる」なんて言い訳せずに・・・。


私は心底、落ち込み、なんだかことさら「嫌」になってきた。
それでも今日は大変なヒト混みのなかに行かねばならない。
悲しみと後悔と怒りと、波のように押し寄せる感情を抱きながら、目的地へ向かった。
混とんとしていた。


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午後4時、私は再び川沿いを歩いてみた。
もしかしたら越冬幼虫が残っているかもしれないと、一筋の希望を抱きながら。


そのこは、なにもない壁面にくっついていた。
1.5cmくらいの小さな幼虫。
{よかった・・・!}
私はそのこをそっとティッシュにとって保護した。
越冬させるために、枯葉と、まだ別の場所に残っていたスミレの葉を少し摘んだ。

彼らは冬は仮死状態で過ごすらしい。そして暖かい日に出てきて、スミレを食べつなぐようだ。
スミレの数が激減したので、今日摘んだスミレの葉を一枚だけ、枯葉とともに入れておいた。

小さい幼虫は、死んだふりなのか眠っているのか、くるんと身を縮めていた。
その愛らしい姿に、涙が出そうになった。

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帰宅後、ツマたちにご飯をあげた。
ツマジロウさんはまだ同じ場所にひっついていて、はちみつ綿棒を近づけても、口吻を出したり引っ込めたり・・・。あまり乗り気でないのであきらめた。
ツマサブロウさんとよっちゃんは普通に飲んでくれた。

彼らに食事をあたえながら、君らの仲間がひどい目にあってしまった、ごめんよ・と声をかけた。


全ての命を救うことはできないし、現実的ではない。
でも何かできたことがあったかも・・・と考えている。
悲しい気持ちは、ずっと胸に鎮座している。


ニンゲンが右往左往する土地である限り、「自然に任せる」ことはあり得ないのだと痛感した。
そして、自分も含めニンゲンがそこに住んでいるということは、元の自然は切り崩され、コンクリートで埋められ、植物は理路整然と植えられ手入れされ、
誰かの住処を剥奪し、命を奪ったということではないか。

ニンゲンも自然の一部であるはずなのに、やることなすこと自然から逸脱してきてしまっているのではないかということは、
常日頃、感じているのである・・・。

ニンゲンこそ「不自然」そのものかもしれない。



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そういえば、昨日、二子座流星群が見れるというので、何気なく空を見上げた。
その時、ひときわ光る星が流れていくのが一瞬見えた。

もしかしたら、この星が、この小さな越冬幼虫と合わせてくれたのかもしれない。
そんな気がした。






2017/12/14

ツマグロヒョウモン ~3頭のツマさんたち(羽化不全と保護したこ)9~ ツマサブロウさんの翅

12月13日
穏やかに晴れているが風が寒い。

ツマジロウさんは産まれて二週目に入った。
ツマサブロウさんとよっちゃんは誕生日が一緒なので生まれてから13日目だ。
みな、ちょっとづつ、歳を重ねてきている。


よっちゃんには昨日から、日光浴用(日中用)に特大のネットを用意して、
そこにいてもらっている。
一昨日、よっちゃんの飛ぶ姿をお風呂場で初めて見て、少しでも広いほうが、翅を動かせるのではないかと。
通常は直径25センチ、高さ33センチくらいの筒状の洗濯ネットを加工したものだけど、
日光浴用は直径35センチ、高さ54センチくらいの特大な洗濯ネットである。

しかし今日は風が強いので、しばらく外で日光浴させていたが、部屋にとりこんだ。
部屋も気温は16度。よっちゃんはまた静かになった。

同じく、30分くらい日光浴してもらっていた、ツマジロウさんとツマサブロウさん。
ケースの中はすぐにあたたまるので、私としてはあまり長く日光浴しておきたくない。
というのは、温度が上がると彼らは飛躍的に動くようになる。あまり彼らを活動させてしまうと、翅を痛めたり、体力を消耗させてしまうので、彼らの寿命を縮めてしまうと、私はそこを気にしている。だが、家人はちょっと違っていて、思う存分日光浴させて動いてもらっておなかがすいたら蜜をたっぷり吸う・・それが本来の姿ではないのか、と。
まぁ、日ごろは私がお世話しているので、彼らとなるべく一緒にいたいというのが本音、適度に日光浴してもらいあとはたっぷり蜜を飲んでもらい、休んでもらうことにしている。

ジロウさんは吸引力が衰えてきたのか、だいぶゆっくりと蜜を飲んでいた。10分くらいだろうか。

サブロウさんは、翅がみるみるボロボロになっていた。そして右側の後翅が前翅の前にきてしまっていた・・・。本人はあまり気にしていないようだが、ちょっと動かしにくそうだった。直そうと試みたが、だめだった。
さっさと蜜を飲んで、動き回り、口吻をくるっとまとめてしまった。


彼らのために摘んでくるコスモスもいよいよシーズンが終わりとなり、花も小さく、すぐに枯れてしまう。
ヒメジョオンもなかなか見つけることができない。
かといって市販の花はなんとなく不安なのだ・・・。
買い物のついでに念入りに探してみよう。ウォーキングする良い機会にもなる。




2017/12/12

ツマグロヒョウモン ~3頭のツマさんたち(羽化不全と保護したこ)8~ よっちゃん飛ぶ

12月12日
ツマコさんを埋葬してから、ツマジロウさん、ツマサブロウさん、そしてよっちゃんにごはんをあげた。

日中結構動き回ったので、ケースのツマたちはどんどん蜜を飲んでくれた。
が、ツマジロウさんが指に捉まろうとしたとき、腕力が弱まっているような気がした。
ツマジロウさんは今日で12日目だ。大事に大事にしなければならない。

ツマたちは翅も欠け始めてきた。

よっちゃんもはちみつ綿棒に反応し、くっついてきたので、ネットから出してみた。
すると、吸蜜するのをやめ、小刻みに翅をぶるぶると動かし始めた。
おやおや、体を温めている。もしや?と思った瞬間・・・

よっちゃんが、ふわぁ~~と飛んだ。

場所が狭いお風呂場でよかった。
部屋に舞い込んでしまったらアウトなので、急いで扉を閉めた。

ツマグロヒョウモンの魅力である力強い飛翔ではなかったが、ふわりふわりと飛んで、
お風呂場の壁にとまった。
急いで、タッパを彼にかぶせて、ゆっくりおろし、
よっちゃんがタッパの内側に来たところで、手で蓋をし、ネットに戻した。

ああ、肝を冷やした。
弱弱しい飛び方なので、お風呂場の隙間に落ちたらどうしようと、冷や汗をかいた。

少し飛べて、よっちゃんはどうだっただろう?

その後は蜜を吸うこともなく、ネットで翅をたたんで静かになってしまった。


よっちゃんはボディがしっかりしている。
ただ口吻がうまくしまえないので、やはり弱っている蝶なのだろうと思う・・・。


もしも春や夏場に生まれていたら、力強く飛び回って、きっとモテタ?だろうななどと思ってしまう。
口吻はくるっとしっかりしまおうね、と・・・。



ツマグロヒョウモン ~4頭のツマさんたち(羽化不全と保護したこ)8~ さようならツマコさん

12月12日
日の光はゆるやかで、そして乾燥している。冬の晴天。

ツマコさんは13日間、頑張って生きた。

西日が眩しいなか、家人と埋葬した。

同時に、蛹化で失敗してしまったチビ2号も埋めてあげた。


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ツマコさんを見ていて気付いたことがある。
ツマコさんは、ほかのツマたちと少し顔が違う。

口吻を挟むようにあるものが「下唇鬚(かしんしゅ)」または「パルピ」と呼ばれるもので、においを感じたり、複眼や口吻の掃除に利用されているものらしい。
うちのツマたちも時々、このパルピ(かしんしゅは言いにくいのでこの呼び名で)を左右に動かしている。ワイパーのようでなんとも面白い。
アゲハやモンシロチョウなどはこれが目立たないので顔立ちが丸いのだが、
シジミチョウやツマグロヒョウモンなどのタテハチョウ科の蝶は結構目立つようだ。
見続けていると、なかなかチャーミングな顔である。


こちらはオスのツマジロウさん。
パルピがツンとしています。

パルピが少しカールしています。メスのツマコさん。

ツマジロウさんとツマコさんを見比べてみても、ツマコさんのパルピがくるんとカールしている。メスだなぁというような丸みにも見える。
しかし、メスがみなこうなのかはわからない。もしかするとツマコさんだけの特徴かもしれない。なぜなら同じくうちで羽化して飛び立っていったツマミさんもツマジロウさんのようにツンとしたパルピだったので・・・。

また毛色もツマコさんのほうが濃い茶色だった。

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13日・・・蛹のころからだと約1カ月一緒だったので、彼女がどんなに頑張って生きてきたかが、痛いほどわかる。

ほんとうは、
大空を飛びたかっただろう。
素敵な相手と恋をして、子孫をのこしたかっただろう・・・。


うちのはちみつ水はおいしかっただろうか?
聞いてみたい。


時々、ツマコさんに寄り添う空想をしながら眠りについていた。
そしてツマコさんの柔らかい背中に乗って、空を飛んだつもりになった。


ありがとう、ツマコさん🌼











2017/12/11

ツマグロヒョウモン ~4頭のツマさんたち(羽化不全と保護したこ)7~ ツマコさん

12月11日
穏やかに晴れて、気温もあたたかい。

ツマコさんは13日目となったが、昨日から元気がなく、弱っているようだった。
今日も朝、かすかに翅を動かしたが、その後は蜜を飲むのも難しかった。

ティッシュをひいた紙箱の中で、棒状に巻いたキッチンペーパーにもたれかかっていたツマコさんだったが、もう、手をかける元気もなく、翅を閉じる力も無いようだった。

ツマグロヒョウモンはタテハチョウ科の蝶だが、彼らは一見脚が四本に見える。
それは前脚が退化してしまっているからだ。胸にくっつけているような状態である。

今日、ツマコさんはその短い前脚をかすかに動かした。
でもそれっきりだった。

日向ぼっこ中、ツマコさんのベットの中に、ツマジロウさんがいた。
なんとなく寄り添っているように見えた。


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とても悲しいが、蝶の一生は、本当に短い。
そしてヒトの人生の、なんと長いことだろう・・・。


ツマコさんは産まれてから決してベストな状態ではなかった。
蛹に捉まれずに落ちてしまい、翅は折れ曲がってしまったし、片方の脚はマヒしてしまっているようだった。
それでも、日差しを浴びていた時は、今から大空に飛び立つような羽ばたきを見せた。



ツマコさん、ありがとう。もうあなたは自由だよ。
これからはその美しい翅で、宇宙だって羽ばたけるだろう。