描くということに「救い」があれば、
不気味に立ちはだかる「恐怖」もあります。
描けなくなる恐怖・・イマジネーションが枯渇する恐怖・・
白い紙を目の前にして、それは突然に、しかも迅速に、
脳裏を浸食してきます。
小学生の頃、突然その恐怖に襲われて、
一心不乱にデッサンを試みましたが、描けば描くほど、
もがけばもがくほど、それはまとわりついてきて、
とうとうあきらめたことがありました。
そして、2.3日描かないでいると、
もとに戻るのです。
スポーツの世界にスランプがあるように、
絵の世界でも、そういうものがあるのかもしれません。
冷静に対応すべきところを、
やはり、「恐怖」には勝てず、慌ててしまう弱い自分がいます。
「感動」と「恐怖」もある意味、私のか細い神経の上では、
同類かもしれません。
良いもの(特に絵画)にであうと、鼓動が速くなり、感情が高まり、
恍惚としてきます。
そしてそのあとに「恐怖」がやってくるのです。
・・おまえはこのような素晴らしい世界が描けるのか?
描けるものなら描いてみろ・と、闇の中で、声が聞こえてくるようです。
それが私を瞬時に焦らせるのです。
幼い頃と違って、その「恐怖」との付き合い方は、
だいぶ慣れてきたように思います。
が、油断をすると、非常に深い闇に落ちてしまいそうになるので、
前向きで自分を信じる「自分自身」が、
いつでも私の支えとなっています。