Kyon {Silence Of Monochrome}

Kyon {Silence Of Monochrome}
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2012/01/19

その先の輝くもの

怒りの感情の裏には、悲しみが潜むという。
怒りに燃える炎の色は赤ではなく、もしかしたら、青い色をしているのかもしれない。
そしてそれは、涙の色にも似ている。


日本人が描く、怒りをモチーフにした心的風景を描いた絵には、
炎を包み込むように、円を描いたり、薄いモヤを描いたりするものが多いという。
燃え盛る炎を、繭でふわりと覆うようなイメージだ。
それは文化的背景もあるだろうが、直接的に怒りを表す事をためらい、または抑圧し、
それでも微笑もうとする、健気な心の表出だと思う。
しかし、繭のようなモヤに包まれたその中身は、やはり炎である。
場合によっては、それを感じている自分を隠す必要はあったとしても、恥じる事はない。
素直に感じるべき、大切な感情だ。

自分が侮蔑された時、または裏切られた時に感じる悲しみや怒りや痛みは正当なものだ。
そんな事を感じてはいけない、考えてはならないと否定してはいけないと思う。
人はみな「自己愛」を持って生きている。
最終的に自分を慈しみ、想い、愛するのは自分自身だ。
自分を欺いたもの、傷つけたものに怒りを感じ、悲しみを感じるその心を、
あからさまに表現する必要もなければ、隠ぺいし抑圧し、否定する必要もない。
ただ、その炎を、たとえば「昇華」作業の様に、
創作への燃料として、文字通り「消火」させてしまうとか、
自分自身の過去・現在を通して未来をも見つめ直す、
「踊り場的」な時間にかえたら良いと思う。
もしかしたら、その炎はやがて、凍てついた心を溶かし、
凍えた精神を優しく温めてくれるかもしれない。

自分の身のまわりに起こりうる事象には、きっと何らかの理由があり、教えがあると思う。
「因果応報」という言葉もある。
謙虚に物事や言動を俯瞰してみるという姿勢は大切だろうと思う。
辛くても、素直に怒り、涙し、感じる事が出来たなら、
きっと心の暗闇の奥底に光り輝く、大切なものが見えてくる。
そして光は、闇が濃い程に美しく、輝くものだ。