Kyon {Silence Of Monochrome}

Kyon {Silence Of Monochrome}
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2014/08/30

扉の向こう

絵を描くとき以外、音楽を聞かない。

というより、聞けなくなった・・という表現のほうがしっくりくるかもしれない。

音楽は、異なる自分を導く「鍵」のようなものだ。
異なる自分は、日常の自分とは違う。
日常とは合い入れない者である。


生きる為に仕事をする。自分にとっての日常である。
それは今も昔も変わらない。
その為の努力や人間関係を今ではもう拒否しないし、
違和感も感じない。
それなりの喜びもあり、楽しさもある。
ただ、そこにいる自分は、コアにいる「自分」とは確かに違う自分である。
ある一つのペルソナである。

鍵に導かれる自分は、絵を描く自分である。
それは、時間にも人間関係にも、金にも支配されない。
束縛されることを嫌う。
そういう自分と、日常の社会的存在としての自分は、
10代、20代の頃は常に齟齬を生み、
その不協和音に苦しんできた。


今はだいぶ「住み分け」ができてきている。
しかし、むやみにその扉を開けることはできない。
できないというか、したくないのだ。

だから、絵を描く自分の存在は、
日常・普通に接する人々に 明かすこともないし、
必要もないと思っている。


扉の向こうにいるのは、一番コアな自分である。
時に自我を凌駕するesであり、idである。
タナトスであり、エロスである。
感情であり、欲望である。


生きていくのに、絶妙なバランス感覚を要することは今も昔も変わらない。

ただ、「世間」というもの、「ヒト」というものに、
慣れてきたことには違いない。