Kyon {Silence Of Monochrome}

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2019/04/04

アゲハとキアゲハ 39 越冬蛹が羽化!

桜も満開となり、明日の強い風で路上は花びらのじゅうたんとなるのだろうか。
昼間は暖かいが夜はまだまだ冷える。

4月4日の午前中、普段消している納戸の明かりをつけっぱなしにしてしまった。
そのすきに、アゲハとキアゲハが羽化していた。
部屋では暖房の影響があるので、冬の間、気温が低く暗い納戸にケースを2個しまっておいた。
春にはなったがまだ納戸は冷えるので、まさかの羽化だった…。
そしてこの時、光も多いに羽化と関係しているのだと改めて学んだ。
冬の間よりは納戸の室温も上昇し、そこに2~3時間ほど光が灯ったことで、彼らは春と認識したのだろう。
ケースにぶらりんと下がる2個の蝶…見慣れた風景がそこにあった。

アゲハのメス。
キアゲハのオス。


キアゲハはオスだった。昨年(2018年)の9月に蛹化したこで、その蛹は黒い部分が多く、サイズも小さかった。
そしてアゲハはメスだった。こちらも昨年の10月に蛹化し、サイズは小さくちょっと赤みがかった色をしてした。
どちらも他の仲間と少し様子が違っていて、心配な蛹だった。
晩秋の最中、なんとなく急いで蛹になったような感じがした。

{上手に越冬できるだろうか
 もう死んでしまっているのではないだろうか
 いやいや、色は多少変わっていても、死んでいる蛹のそれとは違う}

桜が満開となるこの時期の羽化なら外に出せる。気温も冬のような寒さはやってこないようだ。
明日は風が強いようだから、明後日、晴れたら出してあげようか。
二頭の美しい蝶は同じネットに入れて、布をかぶせ早々に休んでもらっている。

それにしても約7カ月という長い長い眠りから、無事に覚め、美しい蝶になるというのは、生命の神秘の極みのようだ。それに立ち会えて、今でも私の胸は熱い。

並んでみると二頭の蝶はどちらも同じくらいの大きさ。


…ふと考えた。
人にも「蛹」の期間があるのではないか。それは人生で1度かもしれないし、繰り返すかもしれない。
経験しない人もいるかもしれない。
無性に殻に閉じこもりたくなるとき、その「蛹」の中がとても居心地よくてなかなか出れないとき、その期間が長いほどに責められるのかもしれない。また不安や恐怖でいっぱいになってしまうかもしれない。
しかし、案外長い人生、そんな期間があっても良いのではないかと思う。
蝶の幼虫だって、あの小さな蛹の中でものすごい変容を遂げているのだ。そしてそれは生死をかけた戦いであり、静けさの中で着実に進む。
蝶に学び、「蛹」の期間=変容の時期と考えれば、新たな自分へ近づく必要な一歩なのだと勇気づけられはしないだろうか。


蝶…その生命力と美しさにはいつも驚かされ、深く魅了される。
本当に地上の宝石のような生命である。

そして素朴に思う。長い眠りの中、蛹の中で蝶たちはいったい、どんな夢を見ていたのだろう。


キアゲハ蛹の大きさ比較。左が今回羽化した越冬蛹。
右は兄弟。色も違うし一回り違います。