当たり前というものはこんなにも、脆いものなのか。
生きていると様々なことを経験する。楽しいことも、悲しいことも。
この世に生きるとは、一度きりのことだ。
今、それをかみしめるように、白地にペンを進める日々が続く。
普通の日常がある日突然、変わってしまうという真実。
小説や映画の世界ではなく、それは現実に起こるのだということを、
昨年、東日本を襲った巨大台風、そして半年以上続くこのコロナ渦がなければ、
痛いほど認識できなかった。
日常が、いつもの日々が、いとも簡単に崩れ去るという経験が、
今後さらになにか起きるのではないかという不安の種を、脳裏に絶えずまき散らしていく。
だからこそ、傍らに寝転がる猫や、カリカリと葉を食する虫の音が、
いつまでもこのままであってほしいと、祈らずにはいられない。
どうか、世界が、続きますように。