Kyon {Silence Of Monochrome}

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2018/08/07

ツマグロヒョウモン 70~意外と早かった、再会。そして雨。

ことのほか思い入れの強い蝶=ツマグロヒョウモン。
秋口まで、しばらく育てることはないだろうと思っていた。

ツマグロヒョウモンの食草であるスミレは川沿いにあふれるように生い茂っていたが、7月の初めに、他の草花と一緒にぞっくり抜かれてしまっていた。
思うに夏と冬、年に2,3回、市か何かが草取りをするのだろう。仕方がないと思いつつがっかりしていた矢先だった。

我が家の小さな鉢植えのスミレの様子がおかしくなった。
なにやら葉がレース状にかすれている。また尺取虫か何かが付いたのだろうとほっておいたのだが、今度は大きなかじりあとが付いている。もしやと思い葉の裏をめくってみると、見覚えのあるトゲトゲが…。

ツマグロヒョウモンの幼虫が大中小、7匹ついていた!
意外に早かった再会だった。よくぞこんな狭いベランダまで産みにやってきてくれた。
もしかしたら、川沿いのスミレが無くなり途方に暮れて、なにかの記憶をたどり、{そういえばあそこの家はなんとかしてくれる}とやってきたのではないだろうか!



とても嬉しかった半面、この鉢植えのスミレでは葉の枚数が絶対足りないとすぐに思った。
川沿いのスミレはすべて抜かれてしまっている。が、反対側はどうだろう?
急いで確かめに行った。

反対側の道路のスミレはまだ無事だった。抜かれることもなさそうだ。
こちらのスミレは川沿いのスミレと種類がやや異なり、タチツボスミレなどハート形のかわいい葉っぱが特徴的なスミレがたくさん育っている。
もちろん、細長い葉のスミレもあるで、とりあえず何枚か葉っぱを持ち帰った。

ツマグロヒョウモンとの生活がまた始まった。

7匹もいると葉の減りも早く、取っても取っても、次の日には無くなってしまった。
しかたなく朝方、まだ気温が落ち着いているときに、通勤で急ぐ人々を尻目に、葉を摘んでいった。

夏のツマグロヒョウモンの成長は早かった。
冬では蛹化するまで1カ月、羽化にも1カ月くらいかかっていたのが、7月25日に保護して、7月31日には最初の1匹がケースの蓋裏にぶら下がった。
それから次々と思いのまま蛹になった。7匹中、4匹がケース内に入れておいた割りばしでなった。
アゲハはめったに割りばしを使わなかったが、ツマグロヒョウモンの幼虫はすぐさま「休み処」として、または「蛹処」として割りばしを活用した。これは今まで例外がない。みな割りばし好きだった。


そして本日一頭が羽化した。オスだった。
朝見たときはすでにケース内で「出してくれ」と言うようにパタパタとしていた。そこで、あろうことか、その欲求に素直に従い、ベランダから放蝶してしまった。
外は曇り空、今にも雨が降ろうとしている…。
蝶はハタハタと気弱そうに飛ぶと壁につかまった後、向かいの屋根に向かって飛び立ち、そのまま屋根に止まってしまった。
案の定、しばらくすると雨が降ってきた。かなり大粒である。
{ああーしまった}と思った。いつもなら天気予報を入念にチェックし雨ふりなら外に出さない。出したときはまだ曇りで、台風のため明日からはもっと天候があれるから今のうちだと思ったがために、放蝶に至ったのだった。
同じ日に羽化したアゲハはさっさと飛んで行ってしまったことと比べると、やはり種の個体差か。アゲハはやはり大きいし、たくましいのだ。

雨はどんどん強くなり9時から12時ごろまで降り続いた。その間、ツマちゃんは屋根の上で翅をたたみ、じっと耐え忍んでいた…。
{こっちにおいで、こっちにおいで!!}とツマちゃんに向かって(時には声に出し)何度も念じたが、通じるわけがない。
調べると、蝶の鱗粉は防水仕様のため雨をはじくというが、大丈夫だろうか。

後ろ髪をひかれる思いで出かけ、3時ごろ帰ってくると、雨がやみ空気もやや乾燥してきているのに、まだツマちゃんは屋根の上にいた。
{もしかして寒さで動けない?ああ、屋根に飛び乗れたら…}
心配で様子を見ていると、ゆっくり翅を広げ、動かしている。
お、飛ぶ気になったかと思いきや、翅を閉じてまたじっとしてしまう…。
それを繰り返しながら時間が過ぎた。
しばらくしてベランダにでて屋根を見ると、もうそこにはツマちゃんはいなかった。
身体が温まって、飛べたのだろう。よかった。。本当にほっとした。
そして雨が降りそうな日には絶対出すまい、と心に誓った。


こちらはトレニア。別名=夏スミレ。
爽やかな色と楚々とした雰囲気に癒されます。