Kyon {Silence Of Monochrome}

Kyon {Silence Of Monochrome}
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2019/06/15

シモフリスズメ 1 猫が仕留めた、珍客。

ある日、我が家の猫、わさびの様子が変だった。
昼間、猫のトイレの隙間をじっと見て離れない。
なにが見えているのか?ゴキ〇リか、それとも…??
しばらく微動だにしていなかったが、そのうち飽きてしまい知らぬうちに移動していた。

その日の夜、けたたましい羽音とともにわさびの機敏な動きが見えた。
この音!やはりゴキ?そして飛んでいる??
背中にヒヤッとしたものが流れた。ゴキは大の苦手である。

正体は違った。それは大きな蛾であった。飛び方を見る限りスズメガだろう。
わさびはパンパンと手を出して器用に蛾を仕留めると口ではぐはぐと噛む。
すると蛾は必死に飛ぼうとするのでブーンとものすごい音がする。
誤食しては双方に悪いとわさびをなんとか抑えると、蛾が陰に隠れた。
見ると三角形の黒い蛾である。その大きさに思わずギョッとしてしまった。
おとなしくじっとしていたが、何度か噛まれ爪をたてられてしまったので心配だった。
そっと虫かごに入れて、そのまま外に置いておいた。
しばらくして様子が気になり見に行くと、その蛾は近くの紫陽花の鉢植えに移っていた。
真っ黒というわけではなく、グレーの地味な感じのスズメガだった。名は解らなかった。
お腹のあたりから何かが出ていた。それは緑色の卵。このこはメスだった。
猫に腹を割かれてしまったのだろうか、かわいそうに、紫陽花の葉に一生懸命産み付けようとしていたがうまくいかない。おそらく食草は紫陽花でないと思うが、瀕死のためやむを得ずという感じだろう。
これもうち猫の仕業…。ごめんよと声をかけ、そっとしておくしかなかった。

翌朝、蛾の姿は消え、卵が残されていた。
すべてとはいかないが、そのうちの2匹を飼育することにした。
さて、そこで困ったのは本来の食草がわからないことだった。
一緒に目撃していた家人にも特徴を聞きながら、親の姿を調べた。
シモフリスズメという蛾が一番近い印象だった。
この蛾の食草はシソ、シマネトリコ?そしてオリーブ!
オリーブなら近くに母の植木がある。おそらくそこに産卵しにきたのだろう。
調べは当たって、ほどなくして孵化した幼虫もオリーブの葉を食べた。
2匹のうち1匹はすぐに亡くなってしまったが、もう一匹は現在まで順調に育っている。

さてこの幼虫、挙動がちょっと不思議、というかよくわからないことが多い。
何回目かの脱皮をした後、葉っぱにしがみついたまま微動だにしなくなってしまったことがあった。その間=2日。後ろ脚は葉にくっついたまま、体が9の字になってしまっていた時はとうとう☆になってしまったかと不安になったのだが、次の日にはむっくり起き上がり、なにもなかったように葉をパクパク食していた。

ちょっとでも触ると頭をぶんぶんふって威嚇してくる。
逆V模様の入った不思議な顔で葉を抱き眠る様子は、小さいオジサンか緑の小人のようでもある…。ウンチは手りゅう弾にそっくりである。

「猫のおわび」で育てているこの幼虫、総評して、なかなかかわいい。
終齢時には人差し指一本分の大きさになるのだとか。
どれだけオリーブを食べるのだろうか。