5月下旬の検査でのわさびの数値はおおむね良好だった。
BUNは36、これはほぼ症状が出ない値。クレアチニンは3.1とやや上昇したが、
カリウムは日々のフィトケアのおかげか(1日2.3-2.4ml)3.1と少し上昇。
彼女の状態を見ても体調がよさそうで、先生からも安定期に入ったかもと、
これからは2カ月にいっぺんの検査でもよいでしょうとのお言葉を頂いた。
それからゆっくリ日々は流れ、梅雨にさしかかった6月上旬、わさびが突然変な声を出し、
初めて粗相をしてしまった。
今思えばそれが「始まり」だったのかもしれない。
7月に入り、急に嘔吐を繰り返すようになり、病院へ行った。食事も受け付けない。
制吐剤のファモチジンはもう効かないため、もっと強力な制吐剤のセレニアを投与してもらった。24時間は効いているらしい。
とにかく嘔吐を抑え、気持ち悪いのを取り除いて、水や食事をとってもらえるように。
嘔吐は止まったが、それでも飲食できず、変な声を出して夜通し起きている。
ふらつきも出てきたので、再び病院へ、なんとか診てもらえることに。
詳しい検査はまだだが、エコーで見ると腎臓が2.9から4.4にまで大きくなっているという。
腎不全が一気に進行してしまったのだろうか。
脱水もしているので、100ミリリットルの補液を受ける。それはすぐに吸収されてしまった。
大きな問題は尿が出ていないこと。診察を受けた時は24時間以上出ていかった。
触診では膀胱に尿がたまっていないという。
補液をしたので尿は出ると思うといわれたが、今の今まで出ていない。
もしも腎臓で尿ができない状態だったら、それは別れが近いということか。
現在、比較的暖かい部屋で(痩せていて脂肪がないので暖かくしてあげてといわれた)、
そっとケージの中で横たわっている。そして寝返りを打つ度に妙な鳴き声を上げる。
3時間おきくらいにシリンジで水分を与えているが、尿をする気配はない...。
こういう時(私だけかもしれないが)ちょっと思考停止状態になるようだ。
考えると沼にはまって動けなくなりそうだ。
まだできることはある、わさびだってあきらめているわけではない。
しかし、ただただ、そっとしておいてほしいのかもしれない。
かつてひどい外耳炎で入院したり、腫瘍の手術の時はひどく落ち込み、
日々不安で泣き通したが、今は少し違う。
大きな落ち込みから這い上がってきたわさび、半年間一日四回の投薬を逃げることなく受けてくれた、これまでのこの子の頑張りを考えると、
もう泣くのも少し違うと感じるようになっていた。
今年は梅雨があっという間に終わり、季節は中間が年々薄くなり、
そのうちこの国は夏と冬だけになってしまうのだろうか。
神様にはわさびと桜が見れますようにと願い、それは叶った。
次はどうか8月の誕生日までと願ったが、そうは甘くないのかもしれない。
14年間私に生きる力を与えてくれたこの小さな天使に、
せめて、穏やかな旅立ちを。
そう願うことは贅沢なのでしょうか。