私はお酒が1滴も飲めません。
煙草もお酒も好きそうだ、とよく言われますが、全く飲めません。
以前、お酒好きの上司に、
「君は人生の楽しみの半分を失っているよ」
と笑いながら言われました。
それがどんな意味なのか、
飲めない私にはその時はいまいち解せませんでした。
私にはとてもお酒の強い友人がいるのですが、
その友人が楽しそうに飲んでいる風景を見ていると、
お酒は良いものなんだなあ、としみじみ思います。
その友人に先日、行きつけだという飲み屋さんに連れて行ってもらったのですが、
そこはカウンターだけの小さなお店で、店主のこだわりが良く出ている、
洒落た雰囲気のお店でした。
夜も更け始めた頃、次々とやってくる様々なお客さんは、
どうやら皆顔見知りのよう。
友人にも挨拶をして、程よい会話を楽しんでいます。
多分、その上司が言っていたのは、こういうことなのではないか、と思いました。
お酒は人の心を穏やかにしてオープンにしてくれる。
適度なお酒は人と人との関係の橋渡しとなって、
コミュニケーションの潤滑油となってくれる。
お酒の飲めない私にとっては、
そのお店でのアットホームな光景は、
ちょっとした驚きであり、憧れの時間でもありました。
その光景ができる要素には、お酒の他に、
お店の暖かい雰囲気や、友人の性格の良さもあるのでしょう。
人見知りで人付き合いの下手な私には、
真似のできないことです。
下戸なかわりに、よく飲むのは珈琲です。
1日10杯以上飲んでいる時もありました。
喫茶店も好きで、学生の頃から、
吉祥寺や下北沢等のレトロな喫茶店に吸い寄せられるように入っては、
窓際の椅子に座って、本を片手に珈琲を飲むのが幸せでした。
今は多くのファーストフード店などに押されて、
純粋な喫茶店はめっきり少なくなってきたので、
レトロな喫茶店の写真集を眺めたりして、
そこへ行った気になって楽しんだりもします。
下戸でもお酒の席は好きです。
相手の普段聞けない本音や心の中が少しでも見えてくるからです。
人間同士の温かい交流を客観的に見ていることで、
私も楽しくなります。
喫茶店には、それとは間逆の空気と時間が流れています。
静けさの中に、 対話の相手は自分しかいません。
インドア派で、一人遊びの多い自分。
・・・どちらかといえば、やはり、
私には珈琲の香りの方が、似合っているのかもしれません。