Kyon {Silence Of Monochrome}

Kyon {Silence Of Monochrome}
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2009/12/15

優しい音

猫のワサビはメスなのですが、基本ドライな性格なので、
必要最低限にしか甘えてきません。
飼い主としては少々寂しいのですが、
ご飯が欲しい時と、遊んでほしい時のみニャンと来て、
あとは、別の部屋でゆっくり寝ていたりします。
しかし昨日は寒さのせいか、珍しく私の布団にもぐりこんできました。
めったにあることではありません。
最初ワサビも違和感からか、瞳がランランとしていましたが、
そのうち体勢も崩れてゴロゴロとご機嫌な音を出し始めました。

猫のゴロゴロという音は、子猫がお母さんに、
ここにいるよと教えるために鳴らすものとか、
リラックスしている時、安心している時に出す音だと聞いています。
お腹の近くで聞こえるワサビのゴロゴロは、
温かいよ、安心だよ、と語りかけているように聞こえます。

 最近読んだ本の中に、
日本の若者の他者への信頼感が、
低下しているというデータと記事がありました。
人は大体において善良であるという「信頼」が、
薄らいでいるというのです。
それが真実であるなら、とても悲しいことです。
警察や法律の存在や、報道にある数々の残虐な事件を見ると、
性善説が疑わしくなり、
性悪説のほうが信憑性が高くなるような気もしてきますが、
人が人と関係して生きていくのが必然のこの世界で、
人に対する不信感を抱いて、人と温かい関係を築けるかといえば、
それはとても難しいでしょう。

私は以前、財布を3度程落としたことがありましたが、
幸運にも 財布は無事でした。この「幸運にも」と思うこと自体、
私にもある種の不信感があることは否めません。
買い物をしてもレシートはすぐに確かめますし、
実際、打ち間違えがあったり、財布の件でも、
中のお札を抜き取られていたことが1度だけありました。
経験に基ずく自己防衛本能というものに近い感じでしょうか。
生活をしていても、なんだか世知辛い世の中になったなあ 、
と思うことは少なからずあります。
それでも信頼関係が無ければ、
社会は正常に成り立っていかない気がします。

まず自分が身近にいる人々を信頼し、
その気持ちを少しでも具体的に示していくことで、
豊かな信頼関係が築けるのではないか、そしてそれが生まれてほしいと思います。
「正直者が馬鹿をみる」というような、悲しくもある意味真実を伝えていることわざもありますが、
それでも、騙すよりは騙される方がいい、
不信感を抱いて関係するよりは自ら信頼していきたい、と思うのは、
いささか綺麗事すぎるかもしれませんが、
そう願って行動していくことが大事だと思います。


人との会話の中で、具体的にあなたを信頼しています、や、
あなたといると安心です、という言葉はそんなに聞けません。
ですから、たとえ相手が猫であっても、
自分に信頼と安心感を抱いてくれていることを、
ゴロゴロという音で素直に伝えてくれることが、
ただただ嬉しく、感謝の気持ちで胸がいっぱいになりました。


しかしその夜は、ワサビを押し潰してはしまわないかと心配し、
更に、思考の渦巻きにのまれてしまい、
混沌とした中でよく眠れませんでした・・・・・