Kyon {Silence Of Monochrome}

Kyon {Silence Of Monochrome}
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2010/03/03

冬の華~Flowers~

都会のビル群はいつ見ても、冷たくて淋しい感じがします。
夏の暑い日でも、冬のような寒さを感じてしまう・・
それは身体で感じる温度ではなく、
心で感じる温度です。

「冬の華」~この絵は、白黒の世界に引き込まれ、ドットやラインを駆使して、
じっくりと1枚の絵を描く喜びを知り始めた私の最初の頃の作品ですが、
そんな思いを描いた作品にも思います。

空は不穏な様相を映し、それは私自身の心模様であったかもしれません。
私には冷やかで閑散として映っていた都会の景色に、
颯爽と歩く、色とりどりの綺麗な女の人達は、
一見して咲き誇る花の様にも見えていました。
しかしよくよく見ると、その人達も何だかただの美しい人形の様しか見えず、
そこは自分にとって異国の様にも感じていました。
今でも、ふっと立ち止まるとそんな幻想に襲われます。

1人でいるよりも、大勢の中にいる方がより強い孤独を感じる事があります。
満員電車に揺られながら、思います。
となりにいるこの人も、あの人も、頭の中では色々な事を考えて、
心には色々な思いを抱えて、それぞれに大事な生活や人生があるのに、
この閉ざされた空間の中では、皆透明なカプセルの中に居て、
他を一切遮断している。
それは、普通に当り前の事なのだけど、何だか考えれば考える程とても不思議に思えて、
群衆の中での痛烈な孤独感が、より一層高まってくるように感じて、怖くなります。

私も含めて皆、温かな鮮やかな血が流れているのに、
体温が一切感じられない冷やかな空間、そんな所にひとりぼっちでいる様に感じます。

そうかと思えば、感情をむき出しにして、ホームで人と人が身体をぶつけ合い、詰りあっている・・
家族でも友人間でも、あのような喧嘩をする事は少ないんじゃないかと思います。
喧騒の激しい都会では、そんなもめ事が少しでも起きない様に、
また自分が傷つかない様に、
やはり1人1人がカプセルに入って、
外の世界を遮断してじっと耐えている方が得策なのかもしれません。

 都会では、「華」はいつでもあらゆる所に咲き誇っています。
しかし、本当の「花」が生きて行く事はとても難しい世界なのだと思います。