Kyon {Silence Of Monochrome}

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2018/06/27

アゲハとキアゲハ 15 食糧難、そして反省。

キアゲハは三匹が体調5cm、幅1cmほどに成長。ものすごい食欲である。
そこで、とうとう、食糧難に…。
このような話はネットでもよく見かける。

無農薬で育てていたパセリは本日、ほぼ枯渇状態。なんとか採取した葉を食べてもらっている。
化学肥料や農薬が未使用の無農薬パセリがくるのは明日…。
本日、なんとか2匹が前蛹となった。が、食べ盛りの幼虫があと3匹…。

そこで先日、買い物で近所を歩いていると園芸店によく育ったパセリの苗が。
幼虫に食べさせないまでも、今後のために育てておこう、と購入することにした。
そこでいちかばちか店主に農薬の使用を聞いてみると、この苗は無農薬だとの返答。
食糧難に陥っている私のなかでかすかな光が。

これだけ生い茂っていれば、かれらを満腹にさせられる。
でも、どうだろう、農薬未使用の苗がこんなに手短に安価にかえるだろうか?

期待と不安とが交錯すること、その日一日中。
苗はさっそくプランターに植え付けて、徒長ぎみのものを摘んだ。
そして摘んだものをそれを水でよく洗い、水にひたすこと半日。
「無農薬」という言葉を信じて、夜に、まず一匹に与えてみた。

すると…。


翌日、幼虫の様子がおかしい。
葉が減っている様子はなかったが、フンをしているので少し食べたのだろう。
じっとしている姿はちぢこまっていて元気がない。
その様子を見て一気に不安と怒りが胸に渦を巻き、「ごめんね、ごめんね!」と言葉が出た。
あの苗は、幼虫に危険だったのか。ああ、焦るんじゃなかった。

すぐに葉と幼虫を引き離し、うちの無農薬パセリをそばに置いた。
幼虫はなかなか動かない。しばらくすると、小幼虫のとなりで二回り大きい幼虫が心配そうに寄り添っているように見えた。
{元気ないよ?どうしたの}{へんなもの、食べちゃったの・・・}
そんな会話が聞こえてくるようで… … …。

小さな幼虫が首を2、3回ふった。それからまたしばらくして、幼虫が葉を食べている様子が見れた。あの旺盛な食べ方ではなく、なんだかもぐもぐ小さく口を動かして…。
その様子を見て安堵もつかの間、後悔と、幼虫への申し訳ない気持ちでいっぱいに。
無農薬パセリならやはり相当の値段はする。前回購入した食用パセリだって50gで300円以上はした。自分の直観を信じればよかったのに…。

一日中、家事や仕事をしながら、小さな幼虫のことが気になって仕方がない。
幼虫が賢かったのか、例の苗の葉をあまり食べておらず、致命傷には至らなかったようで、その後は次第に食欲も戻り、ケースの中を歩くまでとなった。
どうか、かれの免疫力で毒が消えますように…。もう、祈るしかない。

キアゲハの幼虫を育てていて食糧難になり、スーパーで購入したパセリをあたえて、その後悲しい体験をしてしまった人々は少なくないようだ。
購入苗もしかり…。
自分で種から育てるのが一番安全だろう。または、半年以上育てて毒が消えたであろう苗など。
こういうとき、我々は一体何を食べているのだろうと思う。
虫が死んでしまう食料とは?虫もつかない野菜とは?
だから、農薬には基準がある。
しかし基準値以内だからと毎日、食べてよいのだろうか?食べたいだろうか。
食品添加物や化学調味料などとの複合的な影響は?

小さな命に教えられることはたくさんある。
それだけ、ヒトは自然から、もっとも遠い存在になりつつあるのだと…。