Kyon {Silence Of Monochrome}

Kyon {Silence Of Monochrome}
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2019/04/06

アゲハとキアゲハ 40 二頭の旅立ち

5日は午前中、穏やかに暖かく晴れていた。
私は昨日羽化した越冬アゲハとキアゲハを旅立たせることにした。


ネットに入れたまま、外に出そうとするが、バタバタとしてしまってなかなか出ない。
そのうち、キアゲハがひょいっと顔を出し、矢のように飛び立っていった。
次の瞬間にはもう空高く舞っていた。7カ月眠っていたとは思えぬほどに、力強い飛翔だった。

{ キーちゃんの分まで生きるんだよ }

54日を共にしたキーちゃん。



一方、アゲハはまだネットの中にいた。そっと指を差し出すと乗っかってきたので、
そのまま近くのラベンダーの花に止まらせた。
翅をふわっと広げたまま、動かない。小さな顔の頭の産毛が初々しく妙にかわいらしかった。
近くにいた母を呼び寄せ、二人でしばらく見守った。
越冬した蛹から昨日羽化したことを伝えると「小さい生き物はたくましいね」と言った。





そのうち身体が温まったのか、ふわりふわりと翅を動かし、ビオラの花の上に止まった。
お腹が空いていたのだろう。口吻を出し、小さなビオラの花の蜜を吸った。
だいぶ長い時間、一心不乱に吸っていた。そして満足したのか口吻をくるっとまとめると、またふわっと飛んでみせた。


アゲハは飛んでは戻り、またくるっと回ってみてはまた戻り、なにかなごりおしいのか、最後の挨拶をしてくれているのか、何度か行きつ戻りつして、そのうち遠くへ消えていった。
最後は私のそばまでやってきて、くるりと回ってくれたのだった。
こういうとき、旅立ちを喜ぶべきなのに、たまらなく切なくなる。
別れは、いつもいつも、胸が苦しくなる。

「元気でね 頑張るんだよ」 とアゲハに声をかけ、

{ どうか無事で どうか蝶の幸せを全うしてね
そして いつでも戻っておいで }

心の中で伝えた。

今は桜の花が満開だ。そして今後も暖かい日が続くという。
アゲハたちも桜の花の香りを嗅ぎ、蜜を吸うことができていたら嬉しい。




これで昨年から続いていたアゲハとキアゲハの飼育日記はいったん終わる。
今年はいつ、戻ってきてくれるだろうか。彼らの子孫たちが。
準備万端にして待っていよう。


2019/04/04

アゲハとキアゲハ 39 越冬蛹が羽化!

桜も満開となり、明日の強い風で路上は花びらのじゅうたんとなるのだろうか。
昼間は暖かいが夜はまだまだ冷える。

4月4日の午前中、普段消している納戸の明かりをつけっぱなしにしてしまった。
そのすきに、アゲハとキアゲハが羽化していた。
部屋では暖房の影響があるので、冬の間、気温が低く暗い納戸にケースを2個しまっておいた。
春にはなったがまだ納戸は冷えるので、まさかの羽化だった…。
そしてこの時、光も多いに羽化と関係しているのだと改めて学んだ。
冬の間よりは納戸の室温も上昇し、そこに2~3時間ほど光が灯ったことで、彼らは春と認識したのだろう。
ケースにぶらりんと下がる2個の蝶…見慣れた風景がそこにあった。

アゲハのメス。
キアゲハのオス。


キアゲハはオスだった。昨年(2018年)の9月に蛹化したこで、その蛹は黒い部分が多く、サイズも小さかった。
そしてアゲハはメスだった。こちらも昨年の10月に蛹化し、サイズは小さくちょっと赤みがかった色をしてした。
どちらも他の仲間と少し様子が違っていて、心配な蛹だった。
晩秋の最中、なんとなく急いで蛹になったような感じがした。

{上手に越冬できるだろうか
 もう死んでしまっているのではないだろうか
 いやいや、色は多少変わっていても、死んでいる蛹のそれとは違う}

桜が満開となるこの時期の羽化なら外に出せる。気温も冬のような寒さはやってこないようだ。
明日は風が強いようだから、明後日、晴れたら出してあげようか。
二頭の美しい蝶は同じネットに入れて、布をかぶせ早々に休んでもらっている。

それにしても約7カ月という長い長い眠りから、無事に覚め、美しい蝶になるというのは、生命の神秘の極みのようだ。それに立ち会えて、今でも私の胸は熱い。

並んでみると二頭の蝶はどちらも同じくらいの大きさ。


…ふと考えた。
人にも「蛹」の期間があるのではないか。それは人生で1度かもしれないし、繰り返すかもしれない。
経験しない人もいるかもしれない。
無性に殻に閉じこもりたくなるとき、その「蛹」の中がとても居心地よくてなかなか出れないとき、その期間が長いほどに責められるのかもしれない。また不安や恐怖でいっぱいになってしまうかもしれない。
しかし、案外長い人生、そんな期間があっても良いのではないかと思う。
蝶の幼虫だって、あの小さな蛹の中でものすごい変容を遂げているのだ。そしてそれは生死をかけた戦いであり、静けさの中で着実に進む。
蝶に学び、「蛹」の期間=変容の時期と考えれば、新たな自分へ近づく必要な一歩なのだと勇気づけられはしないだろうか。


蝶…その生命力と美しさにはいつも驚かされ、深く魅了される。
本当に地上の宝石のような生命である。

そして素朴に思う。長い眠りの中、蛹の中で蝶たちはいったい、どんな夢を見ていたのだろう。


キアゲハ蛹の大きさ比較。左が今回羽化した越冬蛹。
右は兄弟。色も違うし一回り違います。




2019/03/08

アゲハとキアゲハ 38 キーちゃんの旅立ち

3月6日 曇り空。

その日もキーちゃんは自発的に蜜を吸った。キーちゃんは蜜を吸うとき、口吻を脚でおさえながら吸うことがあった。
器用に両脚で顔を洗う姿がかわいいと思った。
今日で54日目、二か月くらい一緒にいられるかもと思っていた。

蜜を吸うキーちゃん。
ネットの側面につかまって運動するため、
翅はほとんど傷んでいませんでした。

夕方、キーちゃんを見ると、ネットにくっついたまま、前脚だけが胸のあたりに引き寄せられていた。
翅は広がったままだ。アゲハ蝶はリラックスしているとき翅を広げたままにしていることが多いようだが、もう日が暮れて暗い部屋の中で、その様子は妙だった。
触ってみると、ネットからはらりと落ちてしまった。
キーちゃんは亡くなっていた。

蜜の濃度は大丈夫だった。3日に羽化したツマグロヒョウモンのたまちゃんも同じ蜜を吸って元気にしていたからだ。

確かに日を追うごとに動きが鈍くなったり、蜜を吸う時間が短くなってきたことは感じていたが、まさか逝ってしまうなんて…。


蝶はいつも静かに旅立つ。
魂がすっと抜け出ていくように。


身体が魂のいれものだとしたら、蝶ほど、その魂が去った後も美しいものはないのではないかと思う。
それほど、キーちゃんは美しかった。

手にとると、それは空気のように軽かった。
儚く切ない重さだった。


54日を共に過ごした。蝶のいる日々はやはり特別な日々だ。
羽化させてしまったのは私が未熟だったせいだ。やはり大空を飛び、子孫を残したかったのではないだろうかと思うと、胸が苦しくなる。

{キーちゃん、ありがとう。
あなたと過ごせて、アゲハやキアゲハのことがもっとよくわかったようです。
お疲れさま、そしてまた、戻っておいで。}

小さくて丸い顔、大きな黒い目が本当にかわいらしかった。


春も近づき、パセリも徐々に成長しだしてきた。
また彼らの子孫を育てよう。そして大空の煌めく宝石となってもらおう。




2019/02/18

アゲハとキアゲハ 27 羽化して38日に

寒さも底を過ぎ、これからは春に一層近づくようだ。

キーちゃんは羽化して38日経った。アゲハの飼育ブログなどで1カ月以上生きたというのを読んだこともあるが、これからどれくらい一緒にいられるだろう。ツマグロヒョウモンのミコちゃんたちのように長生きしてくれたら…。



アゲハは翅が立派なのだが、傷み具合がツマグロヒョウモンと比べて少ない気がしている。メスだからゆったり飛ぶということもあるだろうが、ツマグロヒョウモンは1カ月も経つと上翅の先がほとんどかけてしまっていたが、キーちゃんの翅はとてもきれいだ。

寒い日はほとんど動かず、ごはんも1回。今日のような温かく日ざしのある日は時々運動をするので、ごはんは2回。
そのごはん=蜜も今では自発的に吸ってくれる。アゲハも慣れてくるとツマグロヒョウモンのように、自発的に口吻を出すようになるのだろうか。

目に花粉がつくと、前脚でそれをぬぐっている姿がとてもかわいい。
前脚に指を近づけると躊躇なく登ってきてくれる。
毎日一緒に過ごし彼女を見ていると情が重なり、いつか来る別れを考えると辛くなる。
彼らの一生はとても短い。
そして人の一生も、見る立ち位置を変えれば彼らとなんら変わらないだろう。

どちらが長いとか優れているという話は実際空しいもので、例えば蝶のように人が自力で大空が飛べるかといえばそうではないし、蝶の見えている世界を見ることもできない。
彼らは遺伝子のレベルで、産まれてから蝶になるまでの必要な情報をすべて受け続くという。だから幼虫はたった一匹で、皆一様に脱皮を重ねて蛹になり、蝶になれるのだ。
一方で人間は産まれてから親の保護を受けなければ生きてゆけないし、その期間がやたらと長い。
しかし知能が優れ複雑な感情を持っている。それ故に環境破壊や戦争など自然界とは逸脱した行動を起してしまう。

私はどちらが優れどちらが劣っているかではなく、動物も虫も人間も、住む世界そのものが違うと思っている。むしろこの地上では人が一番の害悪だと思っているのだが、猫や虫たち…彼らが人間側に歩み寄ってくれていると常日頃感じている。



2019/02/07

2月26日~3月3日「細密展14」に参加します。

 アートコンプレックスセンター 細密展14

**展示会のお知らせ**
2月26日(火)~3月3日(日)11:00~20:00 ※最終日17:00まで
The Artcomplex Center of Tokyo 2F にて開催される「細密展14」に参加いたします。

様々な細密画がご覧いただけるとても見ごたえのある展示会となっております。
私も作品を何点か展示させていただきます。画集・ポストカード販売もいたします。
お時間がありましたら、ぜひ見にいらしてください!


・・・・詳細・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

細密展14 
◆開催期間 2019年2月26日(火)-3月3日(日)
◆開催時間 11:00-20:00 最終日のみ17:00まで
◆パーティ 2019年3月2日(土) 17:00-19:30
◆展覧会場 The Artcomplex Center of Tokyo 2F ACT5

■出展者
Nyan Twitter: @k2007723
Kyon  http://psychout.sakura.ne.jp
宇野たまみ  https://www.instagram.com/tamami_midnightdrawing
指宿  https://twitter.com/ibsukionsen
chis
woga  https://www.instagram.com/?hl=ja
高橋 未歩
妬血  https://mobile.twitter.com/toketu09
溝井 悠紀
イシイヨシト  https://www.behance.net/YoshitoIshii
Yoshimi kawae
まやいけナングァズー
森田悠介  http://salone129.com/
     ・Twitter:@morita129
西田版画室  twitterアカウント→835ijc



3月4日追記*****

グループ展、無事に終了いたしました。今回も様々な学びを得ました。
ご来場下さった皆様、作品をご覧頂いた皆様、どうもありがとうございました。

Kyon