Kyon {Silence Of Monochrome}

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2018/02/13

ツマグロヒョウモン~保護したツマさんたち(よっちゃんと幼虫5号)34~ スミレがまた消えた…

2月13日
気温は10℃いかないが、日向は暖かい。
よっちゃんを朝から日向ぼっこさせると、何度か勢いよく羽ばたいていた。
羽ばたくと小さくなってしまった右翅が時々上下入れ替わってしまうのであまり動かせたくないのだけど、日光浴中のよっちゃんはやはり楽しそうに見える。
そして少し運動した方が蜜もよく吸う。
蜜を吸う前はおなかがややしぼんでいるが、蜜を吸ったあとはふっくりとしている。そしてしばらくじっとした後、おしっこをする。
そういう様子を毎日見て、よっちゃんが元気そうなことにほっと安堵する。


しかし、いつもの散歩道を歩くと寂しい気分になる。
彼らの子供たちの大切な食草の自生スミレは12月中旬にほぼ抜かれ、片側の道にひっそりと茂っていたスミレも、今日、コンクリートで埋められてしまっているのを確認した。

スミレは多年草であるから、春にまたかわいい花を咲かせることだっただろう。
枯れた株からも新芽が次々と生まれたことだろう。
コンクリートで埋められてしまったので、もう二度とそこに自生していたスミレが育つことはなくなった。

道路はきれいに整備され、自転車は特に走りやすくなっただろう。だけれど、私にはそれが人間の自己満足にしか見えない時がある。
昨今、「共生社会の実現」とうたわれて久しいが、いったいなにが共生社会といえるのだろう?
植物や昆虫、他の生き物たちとの共生は?
それを思うと、どこかのノートの表紙がいつのまにか花の写真だけになったことを思い出す。一部の、表紙の昆虫が気持ち悪いという声が、そうさせたのだとか。
虫を触れない子供も増えているという。その子供たちが大人になってまた子供を持てば、同じ嫌悪が世代間連鎖されていくのだろう。

フィールドガイド「日本のチョウ」という本によれば、東京の蝶の29%が絶滅の危機にあるという。
おおよその原因はやはり人間にあるようだ。土地の乱開発に、薬品、乱獲・・・。
私の地域で、ツマグロヒョウモンの食草のスミレがほぼ抜けれ、生き残っていた株もコンクリートに埋められてしまったことを考えれば、本当にこの夏、そしてそれ以後もツマグロヒョウモンがこの地域を飛ぶことはないかもしれない。
ここの地域の人たちは一切気にしないかもしれない。
でも・・・私はとても悲しい。
これも立派な環境破壊だと痛く感じてる。

蝶は生態系にとって大切な仲間である。鳥やその他の動物の餌になり、花の受粉を行う。
また蝶は減少などの傾向が早期にあらわれるため、自然環境の変化の指標として優れているという。
かつては西の方にしか見られなかった南国系のツマグロヒョウモンが関東でも見られるようになった要因のひとつとして、温暖化があるともいわれている。


私は私で、なんとか彼らために、スミレの苗を買ってきたり、種をまいたりと、慣れない仕事で四苦八苦している。
ツマグロヒョウモンのためにわざわざスミレを育てている人は少ないんじゃないだろうかとも思う。スミレの育て方など見ればツマグロヒョウモンの幼虫はだいたい害虫扱いだ。

彼らが訪蝶して、安全な葉に卵を産み付けられるようになるまで、おそらく何年もかかるだろう。
それでもツマグロヒョウモンの魅力、そしてスミレやビオラの魅力を知ってしまったからにはやり続ける。


大事な大事なスミレの芽。
10月に発芽し、ちょっとづつですが、成長しています。