Kyon {Silence Of Monochrome}

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2017/12/01

ツマグロヒョウモン ~チビたち2、そして保護した2個の蛹(羽化不全)~

10月22日に台風で吹き飛ばされているのを保護した、ツマグロヒョウモンのチビ幼虫(当時2センチ弱)はスミレを食べて順調に育っていった。

しかし、一番小さなチビ幼虫(チビ2号)は、不完全な蛹となってしまった。

チビ2号は蛹化のころから少し様子がおかしかった。
いままで見てきたところ、前蛹になってから30時間以内に蛹化していたのが、このこは35時間以上たっても蛹化しなかった。
そしてやっと蛹化したと思ったら、なにかいつもと形が違う。
よくみると、前蓋部分?が欠損し、ハイヒールのような形となっていた。
育つための器が不完全なため、このこはもう生きられないかもしれないと思った。
蛹になるまでこのこは小さい体で、本当に努力していた。
11月16日に蛹になったので、1ヵ月は様子を見てみようと思っているが・・・
残念でならない。


一方、もう一匹のチビ(チビ1号)は11月11日に蛹となった。
このこは用意した割りばしを使わず、ガーゼを貼った蓋の裏で蛹化した。


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さて、羽化をまちわびるこの期間に、私は先のツマオさん以外にもう2個、川沿いのスミレラインで落下した蛹を保護した。
落下したままでは羽化できない・・・どうしてもほおっておけなかった。

ツマグロヒョウモンは蛹化の最後に、イガグリに似た脱皮したものを頭からよいしょと振り落とすのだが、時々それがひっついたままのこがいる。そういった蛹はどうも接着があまいらしく、よく落下していた。


2個の蛹について、1個は11月20日(=川沿1号)、2個目は24日(=川沿2号)に保護した。


11月29日、2番目に保護した川沿2号が羽化した。・・・が、こちらも羽化不全だった。
メスだったのでツマコと命名。

普通、蛹から出てきたツマグロヒョウモンは、うまい具合に蛹のトゲトゲに足を引っかけ、翅を延ばし乾かすようだが、このこは力が弱かったらしく、落下した状態だった。
その姿をみつけた時は、どうしたらよいのか全く分からず、ただただ見守るしかなかった。
足をばたつかせてなにかつかまりたそうだったので、キッチンペーパーを丸めて棒状にしたものを近づけると、手を延ばしてつかまろうとするが、するっと抜けてしまう。
翅はとても柔らかい状態…しょうがないので横になったままのツマコさんの様子を見た。
 
最終的にこの子の翅はくるくる曲がったままになってしまった。途中で私が動かしすぎてしまったかもしれないと反省した…。
口吻も伸び切ったまま…。ただ蜂蜜を希釈した「はちみつ水」を綿棒にからませたティッシュに含ませてちかづけると、顔を動かして(口吻左右にあるものを開閉した)、口吻を一生懸命動かしてきた。
食欲はあるのだと思った。


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11月30日 
薄曇りの雨模様。

朝、ツマコさんにごはんをと挨拶をした。ゆっくりとだが生きていた。
昨日と同じく、はちみつ水をふくませたティッシュ綿棒を近づけると、抱えるように寄ってきて、口吻を動かしてきた。しかしなかなかうまくゆかない様子。吸っているのかわからない。吸う力もないか・・・?翅を動かそうとしているのが切ない。
気休めだが、育てているビオラの花を数個摘んでそばに置いた。香りがいい。
ツマコさんについて、彼女の入っているケース(丸いボールにティッシュを敷いた)に蓋をし暗くして体力を消耗させないようにした。


同じ日。嵐の日に保護したチビ2匹のうち、ケースの蓋の裏で蛹となったチビ1号は、蛹化から二週間以上たった11月30日、薄曇りのなか、8時頃、羽化しているのが見えた。
いつものことだが、いつのまにか、蛹にぶらんと蝶が下がっていた。1時間前はなんともなかったのに・・・。
美しいメスのツマグロヒョウモンだった。
このこはツマミと命名した。
ツマミはまだ羽化したてなので黒い布をかぶせて一日そっとしておくことにした。

このこについての悩みは、この時期、外に出すか否か・・・。
おそらく寒さでほとんどうごけぬまま、鳥の餌になってしまうか、凍え死んでしまうかもしれない。食事にありつけず、餓死するかもしれない・・・。

その日は一日、悩み続けた。


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12月1日
薄曇りの寒空。雨模様。

翅がのびていないツマコさんは今日もゆっくり生きている。8時ごろ、はちみつ水をあげてみると、抱えるようにして、口吻を動かした。なかなか難しそうなので、今日は楊子で、口吻をはちみつ水をふくませたティッシュにあてがってあげた。吸っているかどうかはわからない・・・。だけど願いを込めた。

一方のツマミさんは、昨日一日考え通し、最後まで面倒を見ようと考えている…。
産まれたケースから、蝶専用のネット(洗濯ネットとワイヤーでこさえたもの)に移動させると、まだ寝ぼけていたのか、動きは鈍かった。光が弱く、気温が低いということもあるだろう。
しばらくしてはちみつ水を与えてみると、口吻を延ばし、1分間くらい吸っている様子だった。ゆらゆらと動かす翅がとても美しい。
その後、また翅をとじて静かになった。
吊り下げたネットに黒い布をかぶせて、そっとしておくことにした。

食事は、万が一、猫のいる部屋で飛んでしまうとよくないので、風呂場で行い、日中はそこに吊り下げておくことにした。
羽化不全のツマコさんもそこへ置くことにした。
風呂場の気温は18℃、湿度は60%程度。


今日はとても寒い一日となりそうだ。

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さて、最後の保護蛹が、1日の朝、羽化していた。
オスだった。
そしてやはり、片方の翅がくるっとまがっている羽化不全だった。

このこはツマジロウと命名した。

落下してしまった蛹はやはりなにか問題をかかえている可能性が高いようだ。
厳しいことだが自然界では生きて行けない個体かもしれない・・・。

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その日の13時と16時、ツマグロヒョウモンたちにはちみつ水を与えた。
ツマコさんは興味を示すが吸っているかわからない。
羽化したてのツマジロウさんも蛹にぶらさがったまま、「はちみつ水綿棒」に興味を示したが、これも吸ったかわからない。なにやらストローの出し入れを練習?している様子。
その後、不完全な翅をゆっくりと動かしていた。

ツマミさんははちみつ水をふくませたティッシュ綿棒に近寄ってきて掴み、1~2分ほど口吻を刺していたので吸ったのだろう。その後くるくると口吻をしまった。

食事の姿はいつみてもかわいいものだ。

ネット情報だと食事は1~2回とのこと。蝶の活動時間は朝から遅くても日がまださしている夕方どまりだろうから、食事も朝と昼~夕の2回にしておこうと思う。


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12月2日
とても良い天気。雲一つなく澄んだ青空。
冬の太陽はやさしい暖かさだ。


美しいメスのツマグロヒョウモンです。


まだずっと、ツマミさんをどうしようか考えていた。
朝、日光浴をと、はちみつ水をあげたあと、太陽の日の光をあてると、気持ちよさそうに翅を広げて、時折ぶるぶると翅を震わせた。
この様子を家人と見ていて、このこは飛びたいのだろうと話した。

ネット情報もかき集めた。冬の羽化には様々な見解があるようだった。

この寒い時期、蝶を出すのはよくない・という意見もあれば、蝶の成虫の飼育は最後無残な姿にもなる・自然にまかせ羽化不全のこだけ面倒を見てそのほかのこは出します・という意見もあった。
アゲハチョウの仲間はこの時期はほんとうに生きていくのが難しいだろうが、タテハチョウの仲間であるツマグロヒョウモンは12月上旬にはまだ姿がみれこともあるから、南関東など運がよければ世代をつなげるのではないかという話も・・・。

2日以上考えて、私も、このこはせっかく飛べる翅があるのだから、大空を飛んでほしいという思いがあった。
12月とはいえまだ陽だまりはあたたかい。周辺ではもうキバナコスモスはシーズンを終えようとしているが、まだキク科の花がそこかしこに咲いている。

また、ツマグロヒョウモンたちの生地である川沿いでは羽化をまっている蛹が5つほどある。
このこたちも、今日のような晴天のあたたかい日に、羽化しているのかもしれない。

ネットの中で日光浴をさせていたツマミさんは、ほどよく身体があたたまったようで、ネットの中で翅をはばたかせ、活発に動いていた。




「飛べそうだね」

飛べるようであれば飛ばせてあげようと、家人と見守るなかで、そっとネットをあけると、ツマミさんはすぐさま、真っ青な大空にふわっとはばたいていった。


「元気でね 元気でね」

そう声をかけるなか、ツマミさんは天高く舞い、見えなくなっていった。


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今日、明日と晴れの日が続く。東京は今週1週間は雨も降ることがないようだ。
昨日今日とツマミさんははちみつ水を吸っていたので体力はあるだろう。
どうか、日の光をたくさんあびて、飛べるだけ飛んでほしい。

無事に羽化できた安堵とともに、心に隙間風が吹いているような、
寂しい想いが混とんと、胸に鎮座している。
泣きたいような、複雑な想い・・・。
約1カ月半、あの嵐の日より2cmにもみたないチビから見守ってきたから、なんともいえない想いがある。


羽化不全のツマコさんとツマジロウさんも柔らかい日差しのなか、日光浴をさせている。
日の光を浴びて、二頭はその不完全な翅を一生懸命動かしていた。
あまりぱたぱた動かすので、消耗させてもいけないと、ほどなくして部屋にもどした。


二頭のツマたち、あとどれだけ一緒にいれるかわからないが、できるだけのことをしてあげたいと思う。


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午前中、川沿いを歩いていると、羽化したてのオスのツマグロヒョウモンがいた。



ツマエさんを放した日に、偶然にももう一頭羽化していたことに嬉しくなった。
ツマエさんと出会ってくれないかな・・・。
この子のいる場所はちょっと日が陰っていて肌寒いのが気になった。しかし見つかりにくい場所にいるので安心かな、2,3時間後には飛び立っているだろうと思った。


しかし、午後気になって買い物の帰りに家人と様子を見に行ってみると、このこはまだ同じ場所にいた。
午後3時。日の光が足りず身体が思うようにあたたまらなかったのだろうと思う。


今日はこのまま過ごし、明日また飛び立つのではないか・・・。

ふと廻りをみると、もう一頭いる!
しかも、枯葉にしがみついているその姿をみると、翅が、曲がっている。。

このこも羽化不全、、でもどこからやってきたのか?
翅をみると産まれてからだいぶだっているような。

出会ったのも運命と、このこ=オスなのでツマサブロウを両手にそっとかかえて、
我が家のツマたちと、同居となった。

12月2日に道端で保護したツマサブロウさん。


猫に見つからぬよう、お風呂場で三頭にはちみつ水をあげた。
ツマサブロウさんはまだとまどっている様子。運んでいる最中に手のひらにおしっこをされてしまった。ツマグロヒョウモンのおしっこは少し赤いようだ。
三頭の中ではいちばん翅が広がっている。元気もよい。



はちみつ水を飲んで、少し運動したツマジロウさん↓

ツマグロヒョウモンはなかなかひょうきんな顔立ちです。
薄いオレンジ色の目は、猫の目にも似たガラス細工のようできれいです。
見る方向によってはバッテン(××)のようにもみえます。


三頭でいったい、どんなはなしをしているだろう・・・???