Kyon {Silence Of Monochrome}

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2017/12/01

ツマグロヒョウモンの日記 ~チビたち~

11月9日
今日は素晴らしい秋晴れ。北風が強く少し肌寒い。

ケースのトゲちゃん(チビ1号・2号)はスミレを食べながらすくすくと大きくなっている。どうやらビオラは食べていないのではと推測する。少し安堵。
1週間前は2センチくらいだった体が、今は1号=4.8センチ。2号=4.5センチと立派な終齢になった。

彼らの行動を見ているととても面白い。
普段彼らはケースに備えているわりばしを「休憩所」として、時々、スミレの葉を食べに降りてくる。スミレの葉を「食堂」としておこう。
1号と2号が互い違いに食堂へ行く分には競合しないが、時々タイミングがあってしまうと大変そうだ。
今日など、同じ葉を食べていたトゲちゃん、1号のほうが体が大きいので腕力も強く(小さな手で器用に葉っぱをつかんで食べたりするところがまたかわいい)、最後の葉のかけらを2号から奪い取ってしまった。そのとたんに、2号が驚き上部を起こしフリフリしている。どうやら威嚇のポーズらしい。
また昨日は、2号が休憩所で休んでいるときに1号が食事を終え戻って戻ったところ、2号のおしりのトゲと1号のあたまのとげがぶつかり、お互いにピクピク=ギクシャクしていた。とげがあるからそれ以上近づけず、、まるでヤマアラシのジレンマのような…。

見た目は赤と黒で毒毒しく、インパクトのあるツマグロヒョウモンの幼虫なのだが、トゲはふわふわとし見かけ倒しで毒もない。顔はセレブサングラスをつけたような感じで、行動はスロー。なんとなく愛嬌がある。
スミレスポットで日向ぼっこをしているトゲちゃんをみかけても、どうか驚かず、嫌わないで、そっとしておいてあげてほしいと思う。


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さて、最初に我が家の購入苗ビオラを食べた子たちは、残りの2匹も☆となってしまった…。
最後のこは、22日にビオラをおいしそうに食べてから、その後動かなくなってしまい、なんと2週間以上生きていたことになる。その間、苦しませてしまったことを、私は毎日激しく後悔した。真相はわからないが、よくよくネットで調べたところ、観賞用の花や苗にはだいたい農薬や殺菌剤が使われているのではないかという声も散見し、購入した苗の葉を与えて幼虫が亡くなってしまい、同じように後悔、猛省し、悲しんでいる人々の声も目にした。
彼らの様子を目の当たりにして、もしも農薬が使われていたとしたら、なんてそれらは残酷な作用をするのだろうと胸がしめつけられた。そして、まわりまわって自分たち人間にふりかかってくる問題なのではないか。スーパーにならぶ、泥も虫もついていないきれいな野菜にもおそらく人間が定めた規定値内の農薬が使われていて、それはたとえ薄くでも、毎日摂取することにより、身体や心を静かに蝕んでいくのではないだろうか。

もともとはツマグロヒョウモンに訪朝してほしくて育て始めた、ベランダのビオラ。
今はその可憐な美しさも胸に冷たく突き刺さる。けっしてビオラたちのせいではないのだけど…。虫がついていても、またはつくようなものでも、美しいものは美しいではないか。
野菜だって仮に虫がついていても、私はそのほうが安全なのでは?と思ってしまう。

最後のこを埋葬するとき、天然のスミレの葉を入れた。手を合わせて、謝罪した。


※そういえば、低・無農薬の宅配野菜にも2年以上カタツムリが全くついてこなくなった。クレームでもあったのだろうか。個人的には寂しく思っている…。


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自分なりにあちこち散策した結果、彼らのユートピア的な場所は、近所の川沿いにあることがわかった。なるほど、この地域にツマグロヒョウモンが多いわけだ。
道路沿いに天然のスミレが群生し、向かい側の柵に、数えれば羽化をまつ蛹が、1週間前には10個ほどあった。
食草のスミレから向かい側の柵までわたるときには彼らにとってリスクが大きい。人間の歩幅にして2歩ぐらいだが、小さい彼らには大冒険だろう。移動の最中にランニング中のひとに踏まれたり、自転車に轢かれてしまうこともある。それでも彼らは見つかりにくく、ざらっとした質感の柵で蛹になるのを選ぶ。
そして蛹になった彼らの真上にはクモも巣を作り、いまかいまかと出張っている。
暖かい先日は羽化して翅を乾かしているメスの蝶を見かけた。頑張って飛び立てよと声をかけた。
しかし昨日は、せっかく羽化した蝶にすでにアリがたかっていた。みると翅が伸び切っていない…。羽化不全か。
自然は本当に厳しいと思った。そして彼らはあの5センチにも満たない小さな体で、わずかな食草で、そんな厳しい自然の中を生きている。
私はスミレの葉の内側でじっとしている赤と黒の幼虫たちを見るたび、
また、空を舞う様々な蝶たちに出会うたび、彼らが歩んできたその道のりを思い胸が熱くなる。


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11月10日
今日もあたたかな秋晴れ。こんな日に飛び立ってほしいと祈りつつ・・・。

昼の12時ごろからチビ1号がいよいよ前蛹の準備をしていた。このこは蓋でなりたいらしい。プラのままだと安定が悪い(外れやすい)というような書き込みをみたことがあり、蓋前面にガーゼを貼っておいた。今回はそこを選んだようだ。身体がだんだんちぢこまってきて、せわしく糸をはいてはクイックイッと首をうごかしている。おしりの台座?をつくっているのだろう。
18時50分、ゆっくり身体を倒して、ついに前蛹になった。


チビ2号もだいぶ大きくなって、スミレの葉をよく食べている。このこも明日当たり前蛹かもしれない。