12月11日
穏やかに晴れて、気温もあたたかい。
ツマコさんは13日目となったが、昨日から元気がなく、弱っているようだった。
今日も朝、かすかに翅を動かしたが、その後は蜜を飲むのも難しかった。
ティッシュをひいた紙箱の中で、棒状に巻いたキッチンペーパーにもたれかかっていたツマコさんだったが、もう、手をかける元気もなく、翅を閉じる力も無いようだった。
ツマグロヒョウモンはタテハチョウ科の蝶だが、彼らは一見脚が四本に見える。
それは前脚が退化してしまっているからだ。胸にくっつけているような状態である。
今日、ツマコさんはその短い前脚をかすかに動かした。
でもそれっきりだった。
日向ぼっこ中、ツマコさんのベットの中に、ツマジロウさんがいた。
なんとなく寄り添っているように見えた。
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とても悲しいが、蝶の一生は、本当に短い。
そしてヒトの人生の、なんと長いことだろう・・・。
ツマコさんは産まれてから決してベストな状態ではなかった。
蛹に捉まれずに落ちてしまい、翅は折れ曲がってしまったし、片方の脚はマヒしてしまっているようだった。
それでも、日差しを浴びていた時は、今から大空に飛び立つような羽ばたきを見せた。
ツマコさん、ありがとう。もうあなたは自由だよ。
これからはその美しい翅で、宇宙だって羽ばたけるだろう。